名刺は、デザイナーが最初に任されることが多い制作物です。紙面は91×55mm。手のひらより小さい紙に、会って渡す1枚ぶんの情報を収めます。
小さいからこそ、情報の優先順位とレイアウトの腕がそのまま出ます。このレッスンでは、サイズの規定・情報の絞り方・紙選びまで、名刺制作の実務をまとめます。
名刺サイズの規定:日本の標準は91×55mm
日本のビジネス名刺は91×55mmが標準で、「4号」とも呼びます。市販の名刺入れやホルダーは、この寸法が入る前提のサイズです。

| 種類 | サイズ | 特徴 |
|---|---|---|
| 標準(4号) | 91×55mm | 日本のビジネス名刺のほぼ標準 |
| 欧米サイズ | 89×51mm | ひと回り小さい。海外とやり取りする会社で使う |
| 小型(3号) | 85×49mm | コンパクトな印象。ショップカードにも合う |
| 二つ折り | 91×110mm(折って91×55mm) | 地図やメニューなど情報が多いとき |
この表は一般的な値です。印刷会社ごとにテンプレートの寸法や対応サイズが少しずつ違うので、入稿前に発注先の最新の規定を確認してください。
載せる情報の優先順位を決める
名刺づくりの最初の仕事は、レイアウトの前にあります。載せる情報の選別です。3段階に振り分けてください。
- 必須:名前・所属(会社名か屋号(個人事業の店名・事務所名))・連絡先(電話かメール)
- あると良い:肩書き・住所・WebサイトやSNSのQRコード
- 見送る候補:事業内容の説明文・複数のSNSアカウント・スローガン
主役は名前です。名前をいちばん大きく、次に所属、連絡先は小さくても読めれば足ります。この大きさの差のつけ方は、デザインの4原則の対比そのものです。

91×55mmに8項目も9項目も詰めると、全部が小さくなって、どれも読めなくなります。渡す場面を思い浮かべて、「相手が後日連絡するときに要るもの」だけ残してください。絞った結果に生まれる余白が、そのまま読みやすさになります。
レイアウトのコツ
横型が基本、揃えは1本の線で
横型が主流で、行の長い連絡先も収めやすいです。縦型は個性が出ますが、1行に入る文字数の制約がきつくなります。要素は左揃えで1本の線に乗せると、小さな紙面でも整って見えます。
文字サイズの下限を守る
連絡先などの小さい文字も6pt以上(ptは文字サイズの単位。1pt=約0.35mm)が目安です。それより小さいと、印刷でつぶれて読めないことがあります。名前は連絡先の2倍前後の大きさにすると、主役がはっきりします。
端には余白を残す
文字は紙の端から3〜5mm内側に置きます。断裁(印刷後に紙を仕上がりサイズへ切る工程)が少しズレても文字が切れず、紙面の窮屈さも消えます。ロゴを入れる場合は、名前と競合しない位置(左上か下部)へ。ロゴそのものの考え方はロゴデザインの基礎で解説しています。
裏面は空けておくのも設計
表に収まらない情報は、裏面に回せます。英語表記・事業メニュー・地図が定番です。ただし裏面を白のまま残すのも立派な設計で、相手がメモを書き込める余白として機能します。
紙選びの基礎
名刺は、紙の厚さと質感も印象を決めます。押さえるのはこの4つです。
- 厚さ:一般的な名刺は連量(紙の厚さを表す単位)180〜220kgの厚めの紙。コピー用紙の3倍ほどの厚みです
- マット系:つや消しの落ち着いた質感。文字が読みやすく、ペンで書き込める
- コート系:つやがあり、写真や色が鮮やかに出る
- 上質紙・特殊紙:紙の風合いが出る。1色のシンプルなデザインと相性が良い
質感は画面では分かりません。印刷会社の無料の紙見本を取り寄せて、指で確かめてから選んでください。塗り足しやCMYKなど入稿まわりの決まりは、入稿・校正の用語と特色印刷と色校正で解説しています。
ミニ実践:自分の名刺を91×55mmでラフにする
紙とペンと定規だけで、名刺設計の全工程を一度なぞります。15分でできます。
- 自分の名刺に載せたい情報を全部書き出します(名前・肩書き・連絡先・SNSなど)
- 「必須」「あると良い」「見送る」の3つに振り分けます
- 紙に91×55mmの枠を実寸で描きます(定規で測ると小ささを実感できます)
- 名前をいちばん大きく、左揃えの1本線でラフを描きます
- 腕を伸ばして眺めて、最初に名前が目に入るか確かめます
実寸で描くのがポイントです。画面の拡大表示だけで作ると、刷り上がりの文字が想像より小さくなります◎
清書して入稿する前は、このチェックリストで最終確認してください。
- 電話番号とメールアドレスを、声に出して1文字ずつ確認した
- いちばん小さい文字が6pt以上ある
- 文字が紙の端から3〜5mm内側にある
- QRコードを入れたなら、実機のカメラで読み取れた
よくある質問
次に学ぶこと
整理します。名刺は91×55mmが標準。情報は必須・あると良い・見送るの3段階で絞る。主役は名前で、文字は6pt以上、端から3〜5mm内側。紙は見本を指で確かめて選ぶ。
クリエイティブ編はここまでです。次は「Web制作・コーディング編」へ。デザインがWebサイトとして公開されるまでの流れを学びます。

学ぶ順番の全体はデザインの基本コースにまとめています。
