作り終わったのに、これで合っているのか分からない。デザインを学びはじめた人がいちばん長く抱える悩みです。
原因は実力ではありません。見直す手順を持っていないだけです。作った直後の自分は、いいところしか見えなくなります。誰でもそうなるので、意志ではなく手順でひっくり返します。
このレッスンでは、公開前に自分で回すチェックの手順をまとめます。読み終わったら、いま手元にある作品を10分で見直せるようになりますよ◎
見直しは「遠くから近くへ」の順でやる
見直しで失敗する人は、たいてい細部から手をつけます。文字を少し大きくしたり、線の色を変えたり。でもそこは最後です。
全体の形がずれていると、細部をどれだけ直しても印象は変わりません。しかも形を直した瞬間に、細部の調整はやり直しです。順番はこの4段階で固定します。

- 目的/誰に、何をしてほしい1枚か。言葉で言えるか
- かたち/3歩さがって、まとまり・そろい・余白を見る
- 文字/ふつうの距離で読んで、すっと入ってくるか
- 細部/画面に寄って、色数・誤字・書き出しを確かめる
段階ごとのチェックリスト
ここが本体です。作品を横に置いて、上から順に見ていってください。全部で3〜10分です。
段階1:目的
- 誰に見せる1枚か、1文で言える
- 見た人にしてほしい行動が1つに決まっている
- いちばん目立っているものと、いちばん伝えたいものが一致している
- 要件に書いてあった情報が全部入っている
3つ目でつまずく人が多いです。写真がいちばん目立っているのに、伝えたいのは開催日だった、というずれ。ここが合っていないと、あとの工程は全部むだになります。
うまくいっている例は身近にあります。コンビニの新商品のポスターは、商品名と写真がいちばん大きく、価格がその次です。伝えたいものと、目立っているものが一致しています。
段階2:かたち
- 情報のまとまりが2〜4個に収まっている
- まとまりの中の間隔より、まとまりどうしの間隔が広い(目安は2倍)
- 要素の左端(または中心)が1本の線にそろっている
- 上下左右の余白が、要素どうしの余白より狭くなっていない
- 同じ役割のものが、同じ見た目になっている
「散らかって見える」の正体は、ほぼこの5つのどれかです。まとまりの数え方はデザインの4原則、間隔の決め方は余白の使い方に戻って確認してください。
段階3:文字
- いちばん大きい文字と本文の差が1.5倍以上ある
- 書体が2〜3種類に収まっている
- 行間が文字の大きさの1.5〜1.8倍くらいある
- 1行の長さが長すぎない(画面なら20〜35字が目安)
- 文字と背景の明るさの差がはっきりしている
- タイトルの字間が、詰まりすぎ・あきすぎになっていない
読みにくさの判断に迷ったら視認性・可読性・判読性へ。行間は行間の取り方、字間は文字詰めの基本で数字まで決められます。
段階4:細部
- 色が3色以内(白・黒・グレーは別)
- 差し色を、いちばん伝えたい部分にだけ使っている
- 日付・曜日・金額・固有名詞に打ち間違いがない
- 画像がぼやけていない(拡大しすぎていない)
- 書き出し(画像ファイルとして保存すること)の形式とサイズが、掲載先の指定と合っている
- スマホの画面で見て、いちばん小さい文字が読める
誤字は自分では見つかりません。文字だけを別のメモに書き出して、要件の原文と1文字ずつ突き合わせるのがいちばん確実です。
自分の作品を客観的に見る4つの方法
チェックリストを持っていても、目が慣れていると素通りします。目をリセットする方法を4つ紹介します。どれも1分かかりません。

1/縮小して見る
表示を1/4くらいまで小さくします。細部が見えなくなるので、全体の形と主役だけが残ります。
この状態で主役が読めないなら、実際にスマホで見た人にも読めません。いちばん効く方法なので、最初にこれをやってください。
YouTubeの一覧に並ぶサムネイルも、Instagramのタイムラインの画像も、だいたいこのくらいの大きさで目に入ります。縮小した状態のほうが本番だと思ってください。
2/灰色にして見る
スクリーンショットを撮って、白黒に変換します。スマホの写真アプリのフィルターで足ります。
色で目立たせていた部分は、灰色にすると沈みます。ここで主役が消えるなら、目立っていたのは色だけで、大きさや位置の差がついていません。
3/上下を逆さにして見る
画面を180度まわすか、スマホで撮った写真を回転させます。文字が読めなくなるので、形と余白だけが目に入ります。
そろっていない端、幅がばらついた余白、傾いた要素。読める向きでは見逃していたずれが出てきます。
4/時間をあけて見る
一晩ねかせます。難しければ半日、それも無理なら30分でも変わります。
作った直後は、苦労した部分を守りたくなります。時間をおくと、その気持ちが薄れて「これ要らないな」が見えてきます。
直す順番は「面積が大きいもの」から
問題が5つ見つかると、どれから直せばいいか迷います。判断の基準は画面に占める面積です。大きいものほど、直したときの変化も大きくなります。
| 優先 | 直すもの | 効き方 |
|---|---|---|
| 1 | 全体の配置・余白 | 印象がまるごと変わる |
| 2 | 主役の大きさ・位置 | 伝わる速さが変わる |
| 3 | 色(特に背景と大面積) | 雰囲気が変わる |
| 4 | 書体・行間・字間 | 読みやすさが変わる |
| 5 | 飾り・線・アイコン | 仕上がりの丁寧さが変わる |
時間が足りないときは、上から2つだけ直して出します。5番だけ直しても、見る人には違いが分かりません。
ミニ実践:10分で1枚を見直す
手元にある作品を1つ用意してください。総合演習で作ったバナーでも、昔作ったものでも構いません。
- 紙に「誰に、何をしてほしいか」を1文で書く(1分)
- 表示を1/4に縮小して、最初に目に入ったものをメモする(1分)
- 1と2が食い違っていたら、そこだけ直す(4分)
- 白黒に変換して、主役がまだ立っているか見る(1分)
- 段階2〜4のチェックリストを上から流す(3分)
大事なのは1で書いた1文を、見直しのあいだずっと横に置いておくことです。これがないと、直すたびに判断の基準がずれます💡
よくある質問
次に学ぶこと
まとめます。
- 見直しは目的 → かたち → 文字 → 細部の順。遠くから近くへ
- 目をリセットする方法は4つ。迷ったら縮小
- 直す順番は、面積が大きいものから
- 「誰に、何をしてほしいか」の1文を、見直しのあいだ横に置く
まだ課題を作っていない方は、総合演習(修了課題)で1枚作ってから戻ってきてください。見直す対象があると、この手順は一気に身につきます。
ここまででコースは終わりです。この先の進み方は修了ページ(次のレベルの選択肢)にまとめました。独学を続ける、本で補う、人に見てもらう。選択肢を並べてあるので、自分に合うものを選んでください。
学んだ内容を振り返るときはデザイン基礎コースの目次からどうぞ。
