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特色印刷の使いどころ|CMYKとの違い・パントン指定・色校正の見方

第3章 配色 読了目安 7分

INDEX目次

    画面で決めた赤が、刷り上がったらくすんだ赤になっていた。印刷物を作ると、ほぼ全員が一度は経験します。

    原因は、印刷の色がCMYK4色の掛け合わせで作られるところにあります。掛け合わせで出せない色を出したいときに使うのが特色です。あらかじめ調合された1色のインキを、そのまま紙に乗せます。

    このレッスンでは、特色と4色印刷の違い、パントンなどの色番号の伝え方、色校正で見る場所、グラデーションが段になるトーンジャンプの防ぎ方までまとめます。読み終えたら、印刷会社と色の話が通じるようになりますよ。

    もくじ

    特色と4色印刷(CMYK)の違い

    ふつうのカラー印刷はプロセス4色と呼びます。シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4版を重ねて、細かい網点の集まりで色を作ります。写真もイラストもこの4色で表現します。

    特色は考え方が違います。ほしい色をインキの段階で作ってしまい、その色専用の版で1回刷ります。網点で作らないので、色がそのまま出ます。

    4色印刷と特色印刷の違いを並べた比較図。4色印刷は4版の網点を重ねて色を作り、特色印刷は調合済みのインキ1色を1版で刷ることを示す
    比べる点4色印刷(CMYK)特色印刷
    色の作り方4色の網点を重ねる調合済みのインキ1色
    版の数4版使う色の数だけ1版ずつ
    得意なもの写真・イラストロゴ・広い面のベタ・蛍光色・金銀
    色のブレ刷るたび多少動くほぼ動かない
    費用一定1色増えるごとに上がる

    特色は「きれいな色」ではなく「毎回まったく同じ色を出す方法」です。ブランドのロゴを何年も同じ色で刷りたいときに選びます。

    特色が向く場面・4色で足りる場面

    特色は版が1つ増えるので、その分だけ印刷代も上がります。全部の仕事で使うものではありません。次に当てはまるなら検討します。

    • 企業やブランドのロゴを、指定された色で刷る
    • 蛍光ピンク・金・銀など、CMYKで作れない色を使う
    • 広い面をベタで塗る(網点だとムラが目立つ)
    • 薄いグレーや淡い色を、ざらつかせずに出したい
    • 2色刷りで、コストを抑えつつ色を効かせたい

    逆に、写真が主役のチラシ、通販サイトのネット印刷、少部数の名刺は4色で足ります。ネット印刷の多くはCMYK固定で、そもそも特色を受け付けません。作りはじめる前に、発注先の仕様を確認してください。

    パントン・DIC・TOYO 色番号の伝え方

    特色は「濃いめの赤で」では伝わりません。色見本帳の番号で指定します。よく使うのはこの3つです。

    • パントン(PANTONE):世界共通の色見本。海外の案件やブランド指定でよく出ます
    • DIC:日本の印刷現場で一番よく見る色見本帳
    • TOYO:DICと並んで使われる国内の色見本帳

    指定は「PANTONE 185 C」「DIC 156」のように番号まで書きます。パントンの末尾のCとUは紙の種類です。Cはコート紙、Uは非コート紙。同じ番号でも紙が変われば見え方が変わるので、末尾までそろえて伝えます。

    色見本帳は実物で確認するのが基本です。モニタのパントン表示は近似の色で、実際のインキとは一致しません。ブランドカラーを決める仕事なら、紙の見本帳を1冊手元に置いてください。

    現場で飛び交う色の呼び名(金赤・スミ)

    印刷の現場には、色の呼び名がいくつかあります。知らないと会話が止まるので、代表的なものを押さえておきます。

    金赤は、マゼンタ100%にイエロー100%を掛けた鮮やかな赤のことです。「赤」と言うと相手の頭に浮かぶ赤が人それぞれなので、この配合をひとことで呼ぶ言葉として定着しました。特色ではなく、CMYKで出せる赤です。

    スミはブラック(K)を指します。「スミベタ」ならK100%、「スミ1色」なら黒1版だけの印刷です。文字はスミ1色で組むのが基本で、これを4色の掛け合わせで作ると、版のズレで文字がぼやけます。

    本文の黒は必ずK100%だけで作ってください。RGBの黒をそのまま入稿すると4色の掛け合わせに変換されて、細い文字が読みにくくなります。

    色校正で見る4つの場所

    色校正は、本番の前に試しに刷って色を確認する工程です。本番と同じ紙・同じ機械で刷る本紙校正と、簡易的なプリンタ出力で見る簡易校正があります。色を厳密に合わせたいなら本紙校正を選びます。

    届いた校正紙は、この順番で見ると見落としが減ります。

    色校正で確認する順番を示した手順図。文字、全体の濃さ、肌や空などの記憶色、ベタとグラデーションの順に見ることを4つのステップで示す
    1. 文字:誤字と電話番号。色より先に見ます。ここを直すと刷り直しになります
    2. 全体の濃さ:紙全体で見て、暗すぎ・明るすぎがないか
    3. 記憶色:肌・空・料理。人が覚えている色は、少しのズレでも違和感が出ます
    4. ベタとグラデーション:広い面のムラ、グラデーションの段差

    見るときは、窓際の自然光か、色評価用の照明の下でお願いします。オフィスの蛍光灯と自然光では、同じ紙が別の色に見えます。修正の指示は「もう少し赤く」ではなく「マゼンタを5%落とす」のように数値で書くと伝わります。

    トーンジャンプを防ぐ

    トーンジャンプは、なめらかなグラデーションが階段状の縞になる現象です。画面では気づかず、刷り上がりで初めて分かることが多いので、作る段階で対策します。

    起きやすいのは、薄い色から薄い色へ長い距離をグラデーションさせたときです。使える階調の幅が狭いのに距離が長いと、色が変わる境目が線として見えます。

    • グラデーションを掛ける距離を短くする。端から端まで伸ばさない
    • 始点と終点の色の差を大きめに取る
    • Photoshopなら16bitで作業して、最後に8bitへ落とす
    • どうしても縞が出るときは、ごく弱いノイズを重ねて境目をぼかす

    広い面をムラなく1色で出したいなら、グラデーションをやめて特色のベタに変える判断もあります。表現を1つあきらめると、事故が1つ減ります。

    ミニ実践:手元の印刷物から特色を探す

    5分で終わります。特色を見分ける目は、ルーペ1つで育ちます。虫めがねでも、スマホのカメラの拡大でも大丈夫です。

    1. 家にある印刷物を3つ集めます。名刺・お菓子のパッケージ・企業のパンフレットがおすすめです
    2. 色の濃い部分を拡大して見ます。小さな点の集まりに見えたら4色印刷です
    3. 点がなく、面がぴったり均一に埋まっていたら特色の可能性が高いです
    4. 蛍光色・金・銀を見つけたら、それはほぼ特色です
    5. 企業のロゴの色を、パッケージと名刺で見比べます。同じ色なら特色で管理しています

    お菓子のパッケージは特色の宝庫です。ブランドの色を毎回同じに保つ必要があるので、多くの商品で特色を使います◎

    よくある質問

    4色印刷と特色印刷の違いは何ですか?

    色の作り方が違います。4色印刷はシアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの網点を重ねて色を作ります。特色印刷は、ほしい色をインキの段階で調合して、その色だけの版で刷ります。写真が入るなら4色、ロゴやベタ面の色をきっちり合わせたいなら特色、という選び方です。

    印刷の「特色」はどういう意味ですか?

    あらかじめ調合された専用インキと、その色で刷る方法を指します。スポットカラーとも呼びます。CMYKの掛け合わせでは届かない蛍光色や金銀、掛け合わせだとムラが出る広いベタ面で選びます。指定はパントンやDICの番号で行います。

    特殊印刷とは何が違いますか?

    特殊印刷は、箔押し・エンボス・UVニス・活版など、ふつうのオフセット印刷とは別の加工をまとめた呼び方です。特色はインキの色の話なので、別のものです。特色で刷った上に箔押しを重ねる、といった組み合わせもよくあります。

    データではどう指定すればいいですか?

    IllustratorのスウォッチでカラータイプをCMYKではなくスポットカラーにして、スウォッチ名を色番号そのままにします。「PANTONE 185 C」のように書けば、そのまま版の名前になります。名前を勝手に変えると別の版として扱われるので、触らないでください。入稿前に分版プレビューで、版が想定どおりの数になっているか確認します。

    次に学ぶこと

    整理します。4色印刷は網点の重ね合わせ、特色は調合済みの1色。ロゴ・ベタ・蛍光色は特色、写真は4色。指定は色見本帳の番号で、末尾のCとUまでそろえる。色校正は文字から見る。グラデーションは距離を短く。

    そもそもCMYKとRGBの関係があいまいな方は、カラーコードの仕組みを先に読んでください。画面の色と印刷の色がズレる理由から説明しています。

    トーンジャンプの話をもう一歩進めたい方はグラデーションの作り方へ。学ぶ順番はデザインの基本コースにまとめています。

    第3章 配色 の他のレッスン

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