バナーを納品したら「きれいだけど、なんか違う」と戻されたこと、ありませんか?
色も整列も間違っていないのに通らない。原因の多くは、デザインの外側にあります。誰に・何を・なぜ今伝えるのかという、マーケティングの部分です。
このレッスンでは、「きれいなデザイン」と「成果が出るデザイン」の違いから、目的から逆算して作る考え方まで進みます。マーケティング編の最初の1本です。
「きれい」と「成果が出る」は別の評価軸
きれいなデザインは、見た目の完成度で決まります。配色、整列、文字組み。第1〜7章で学んできたことです。
成果が出るデザインは、見た人が動いたかどうかで決まります。クリックした、申し込んだ、お店に来た。評価する物差しがそもそも違うんです。

きれいに作れたバナーでも、クリックする人がいなければ役割を果たせていません。逆に、見た目は普通でも「誰に何を言うか」が合っていて数字が出るバナーは、現場にたくさんあります。
| きれいなデザイン | 成果が出るデザイン | |
|---|---|---|
| 評価する人 | 自分・同業のデザイナー | 見た人と、その行動の数字 |
| 基準 | 4原則・配色・文字組み | クリック率・申込数・来店数 |
| 良し悪しが分かる時 | 完成した瞬間 | 公開して数字が出たあと |
マーケティングの全体像:売れる仕組みは4つの要素でできている
マーケティングは「売れる仕組みを作る活動の全体」を指す言葉です。仕組みと言うと難しく聞こえますが、要素に分けると4つしかありません。
- 何を売るか:商品やサービスそのもの。他とどこが違うか
- いくらで売るか:価格。安さで選ばれるか、価値で選ばれるか
- どこで売るか:店舗、通販サイト、アプリ。買える場所と届け方
- どう伝えるか:広告、SNS、検索。存在と魅力の知らせ方
デザイナーが主に担当するのは、4つ目の「どう伝えるか」です。バナーもLPもSNS画像も、全部この中に入ります。
残りの3つを決めるのはクライアントやマーケターです。ただ、決まった内容はデザインの前提として効いてきます。高価格の商品なら上質さの伝わるトーン、通販だけで売る商品なら購入ボタンまでの導線。前提を知らずに作ると、冒頭の「きれいだけど、なんか違う」が起きます。
伝える手段とデザイナーの関わり
「どう伝えるか」の中にも、手段の種類があります。
- 広告:バナー・動画広告。デザイナーの出番が最も多い場所
- SNS:投稿画像・プロフィール。継続して作り続ける場所
- 検索:記事やLP。ページの構造と見せ方で関わる場所
- 店頭:POP・チラシ・パッケージ。紙ものもデザインの仕事
どの手段を任されても、考え方の土台は同じです。それが次の3つの問いです。
マーケティングは「誰に・何を・なぜ今」を決める仕事
全体像は広いですが、デザイナーが最初に押さえるのは3つの問いだけで足ります。
- 誰に:届けたい相手はどんな人か。年齢・状況・悩み
- 何を:相手が得することは何か。安さ、手軽さ、安心
- なぜ今:今動く理由は何か。期限、限定、季節
この3つが決まってから、デザインが始まります。
現場では、3つが決まらないまま「いい感じにお願いします」と依頼が来ることも多いです。そのときは自分から聞くか、仮に決めて「この前提で作りました」と添えます。聞けるデザイナーは、それだけで信頼されます💡
目的から逆算すると、デザインの判断が変わる
同じ「賃貸物件のバナー」でも、目的が違えば正解が変わります。
- 知ってもらうのが目的 → ブランド名と世界観を大きく。情報は絞る
- 申し込んでもらうのが目的 → 「初期費用0円」と期限を最初に見せる

順番はいつも同じです。目的 → 誰に → 何を → どう見せる。デザインの判断は最後に来ます。
この順番で考えると、色や書体を選ぶ根拠が「好み」から「目的」に変わります。「なんとなく赤」ではなく「期限を目立たせたいから赤」。説明できる選択になるんです。
マーケティングを知るとデザイナーの仕事はこう変わる
まず、修正指示の意味が読めるようになります。「赤字をもっと大きく」は、多くの場合「行動してほしい気持ちを強めたい」の言い換えです。意図が分かれば、文字を大きくする以外の案も出せます。
次に、提案が通りやすくなります。「こちらの方がきれいなので」ではなく「申し込む人は価格を先に見るので」と説明できるからです。見た目の好みの議論から抜け出せます。
着手前に、この4つに答えられるか確認する習慣をつけてください。
- 誰に見せるものか、答えられる
- 見た人にどう動いてほしいか、答えられる
- なぜ今出すのか、答えられる
- 成果を何の数字で測るか、聞いてある
誰に届けるかの決め方、段階ごとの設計、言葉の作り方は、この編の続きのレッスンで1つずつ扱います。今日は「目的から逆算する」という軸だけ持ち帰ってください。
ミニ実践:広告バナー1枚を3つの問いで分解する
10分でできます。道具はスマホだけで大丈夫です。
- SNSやWebで見かけた広告バナーを、気になったもの1枚選ぶ
- 誰に:何歳ぐらいの、どんな悩みの人向けか書く。写真・色・言葉づかいがヒントになります
- 何を:見た人が得することを1文で書く。安さか、手軽さか、安心か
- なぜ今:期限・限定・季節など、今動く理由を探す。なければ「ない」と書く
- 最後に、3つの答えがバナーのどこに表れているか、指でなぞって確認する
1日1枚続けると、広告が「誰に何を言うためにこの見た目なのか」で読めるようになります◎ この読み方が、自分で作るときの引き出しになります。
よくある質問
次に学ぶこと
今日の軸を整理します。
- きれい(見た目の完成度)と成果(見た人が動いたか)は別の評価軸
- 売れる仕組みは「何を・いくらで・どこで・どう伝えるか」の4要素。デザインは主に「どう伝えるか」の担当
- マーケティングの入り口は「誰に・何を・なぜ今」の3つの問い
- 順番は、目的 → 誰に → 何を → どう見せる。デザインの判断は最後
次のレッスンは「ターゲットとペルソナ」。3つの問いの最初、誰にを具体的な1人まで絞る方法です。誰にが決まると、配色もトーンも言葉も決まっていきますよ。

マーケティング編の全体像はマーケティング編の学び方、コース全体はデザイン基礎コースの目次からどうぞ。
