ロゴを作ってみたら、なんとなく素人っぽい。よくある話です。理由は形のセンスではなく、決める順番にあります。
ロゴデザインは、いきなり形から入ると必ず迷います。先に言葉を決めて、型を選んで、最後に小さくして確かめる。この順番で進めると、素人っぽさの原因はほとんど消えます。
このレッスンでは、ロゴとロゴタイプの違いから始めて、3つの型・作る順番・確認の仕方までを見ていきます。最後は有名なロゴを1つ選んで分析する練習です。作らなくても、見る目から鍛えられますよ◎
ロゴ・ロゴタイプ・シンボルマークの関係
まず言葉を整理します。混ざったまま進めると、人に相談したときに話が噛み合いません。
ロゴは、会社やサービスを表すしるし全体を指します。
ロゴタイプは、社名やサービス名を文字で組んだ部分です。
シンボルマークは、文字ではない絵や図形の部分を指します。

つまり、ロゴという大きな枠の中に、ロゴタイプとシンボルマークが入っています。両方持っているロゴもあれば、ロゴタイプだけのロゴもあります。
ロゴは3つの型から選ぶ
形を考える前に、どの型で作るかを決めます。型が決まると、考える範囲が一気に狭まります。
| 型 | 中身 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ロゴタイプ型 | 名前を文字で組むだけ | 名前を覚えてもらいたい。個人・新しいサービス |
| シンボル型 | 図形や絵だけ | すでに名前が知られている。アプリの小さな枠で使う |
| 組み合わせ型 | マーク+名前 | ほとんどの会社・店舗。使い回しが効く |
身近な例で当てはめてみます。無印良品やユニクロは、名前を文字で組んだロゴタイプ型。りんごのマークだけで通じるAppleはシンボル型です。マークと名前がセットで並ぶ会社のロゴは、たいてい組み合わせ型になっています。
組み合わせ型の使い分けは、YouTubeを見ると分かります。サイトの左上では赤い再生ボタンのマークと「YouTube」の文字が横に並び、スマホのアプリアイコンではマークだけになります。1つ作れば、置く場所に合わせて出し分けられる。これが組み合わせ型をすすめる理由です。
迷ったら組み合わせ型にしてください。名刺では横並び、SNSのアイコンではマークだけ、というように場面で使い分けられます。
シンボル型は難しい選択です。マークだけで誰の何か伝えるには、その形を何度も見てもらう時間が要ります。始めたばかりのサービスには向きません。
作る順番は「言葉 → 形 → 検証」
手を動かす前に、言葉を決めます。ここを飛ばすと、あとで「なんとなく違う」が止まらなくなります。

- 言葉を3つ決める:そのブランドを表す形容詞を3つだけ書き出します(例:やさしい・軽やか・まじめ)
- ラフを20案描く:紙に小さく描きます。1案30秒で構いません。数を出す工程です
- 3案に絞る:1で決めた3つの言葉に合うものだけ残します。好みではなく言葉で選びます
- 白黒で清書する:色を付けずに形だけ整えます。色は最後です
- 縮小と展開を確認する:小さくして潰れないか、背景が濃い色でも読めるかを見ます
2の「ラフ」は下書きのことです。清書と違って、形が分かる程度の線で構いません。紙のはしに親指くらいの大きさで描いていきます。
「20案」は多く感じますが、最初の5案は誰でも思いつくものが出ます。手が止まってからの10案に、その人らしい形が混じります。
書体選びで迷ったら、フォントと書体の基本とフォントの選び方を先に読むと決めやすくなります。ロゴタイプは、書体をそのまま使うのではなく、少し手を入れて自分たちの形にするのが普通です。
小さくして確認する
ロゴは、大きく見せる場面より小さく使う場面のほうが多いです。名刺の隅、SNSのアイコン、ブラウザのタブ。いちばん小さい使い方で成立するかが合否の分かれ目になります。

確認するのは2つです。
- 最小サイズ:幅20mm(画面なら100px前後)まで縮めて、まだ読めるか。細い線や細かい隙間はここで潰れます
- アイソレーション:ロゴの周りに空ける最低限の余白。他の要素を近づけない範囲をあらかじめ決めておきます
いちばん小さい使い方は、いまならSNSのプロフィール画像です。InstagramもXも正方形に切り取ったうえで円形に表示するので、四隅は見えません。ロゴを作ったら、円の中に入れて手元のスマホで見てみてください。
もっと小さい場所がブラウザのタブです。いま開いているタブを見ると、どのサイトも数ミリの絵だけで見分けがついています。Google検索のタブに出るのは「G」の1文字で、社名は入っていません。小さい枠では、要素を減らしたほうが強いという実例です。
最小サイズと余白の決め方は、公開されているガイドラインでも確認できます。GoogleのMaterial DesignやAppleのHuman Interface Guidelinesには、アイコンの大きさと周りに空ける余白が数値で書いてあります。自分のロゴでも同じように、最小サイズと余白を数字で決めて残しておいてください。
アイソレーションの決め方は簡単です。ロゴの中にある文字の高さを1単位として、上下左右にその1単位ぶん空ける。それだけで、どこに置いても窮屈に見えなくなります。
余白そのものの考え方は余白の使い方で扱っています。ロゴの余白も、そこで学ぶ「意味を分けるための余白」と同じ働きです。
ロゴでやってはいけないこと
作ったあとに気づくと直すのが大変な項目です。清書する前に確認してください。
- 要素を詰め込んでいないか(マーク・文字・飾りで3つまで)
- 効果に頼っていないか(影・光沢・グラデーションは縮小すると消える)
- 細い線や細かい隙間が残っていないか(印刷でつぶれる)
- 既存のロゴに似ていないか(画像検索で似た形を探す)
- 白黒にしても意味が伝わるか
- 正方形に収めたとき成立するか(SNSのアイコン用)
とくに多いのは1つ目です。伝えたいことを全部入れようとすると、何も伝わらないロゴになります。意味は1つに絞る。残りはWebサイトや資料の側で説明すれば足ります。
4つ目は権利の問題につながります。似ているだけで使えなくなる場合もあるので、清書に入る前に確認しておくと安全です。詳しくは著作権と肖像権の基礎を読んでみてください。
ミニ実践:有名なロゴを1つ分析する
所要15分。作る前に、良いロゴの中身を分解します。道具は紙とペンだけで大丈夫です。
- 好きなブランドのロゴを1つ選び、公式サイトで大きく表示します
- 3つの型(ロゴタイプ型・シンボル型・組み合わせ型)のどれかを判定します
- 文字を見ます。明朝系かゴシック系か、線は太いか細いか、角は丸いか
- 文字の間隔を見ます。詰めてあるか、広げてあるか。1文字だけ形が違わないか
- ロゴの周りにどのくらい余白が取ってあるか、指で測ります
- そのロゴから受ける印象を、形容詞3つで書きます
やってみると、有名なロゴほど使っている要素が少ないと気づきます。文字だけ、あるいは単純な図形1つ。飾りは足していません。
6で書いた形容詞3つが、そのロゴの設計図です。自分で作るときも、ここから始めます。
よくある質問
次に学ぶこと
今回のまとめです。
- ロゴの中に、文字の部分(ロゴタイプ)と絵の部分(シンボルマーク)がある
- 型は3つ。迷ったら組み合わせ型
- 順番は、言葉3つ → ラフ20案 → 3案 → 白黒で清書 → 縮小と展開の確認
- 最小サイズと余白(アイソレーション)を先に決めておく
次のレッスンはテクスチャとパターンです。同じ形でも、背景の質感で印象が変わる話をします。
ロゴを企業の看板として運用する話はブランドとCI/BIで扱います。ロゴを作ったあとの管理まで知りたい方はそちらへどうぞ。
コース全体の流れはデザイン基礎知識コースの目次から確認できます。
