作ったバナーがその後どうなったか、知らないまま次の制作に進んでいませんか?
デザインの良し悪しは、公開後の数字で確かめられます。使うのはCTR・CVRの2つの指標と、ABテストという比べ方だけ。統計の勉強は要りません。
マーケティング編の最終レッスンとして、「作って終わり」から「数字で改善する」への進み方を扱います。
CTRとCVR:2つの数字で弱点が分かる
まず指標を2つだけ覚えます。バナーやLPの成果は、この2つでほぼ説明できます。

| 指標 | 計算 | 分かること |
|---|---|---|
| CTR(クリック率) | クリック数÷表示回数(インプレッション) | バナーやリンクが押したくなる出来か |
| CVR(コンバージョン率) | 成果数÷クリック数 | LPが行動まで導けているか |
コンバージョン(CV)は、申込み・購入・登録など、ページの目的の行動のことです。
この2つを分けて見ると、弱点の場所が特定できます。CTRが低いならバナーやコピーの問題。CTRは良いのにCVRが低いなら、LPの中身の問題。直す場所が数字で分かるのがポイントです💡
数字はどこで見るか
CTRやCVRは、自分で数えて計算する数字ではありません。ツールの画面に最初から出ています。見る場所は主に2つです。
- 広告の管理画面:Google広告やMeta広告(Instagram・Facebookの広告)など、広告を出したサービスの管理画面です。バナーごとの表示回数・クリック数・CTRが一覧で並びます。表示回数は「インプレッション」という名前で載っていることが多いですが、意味は同じです
- アクセス解析ツール:サイトに来た人の数や動きを記録する道具です。代表は無料のGA4(Googleアナリティクス4)。LPに何人来て、何人が申込みまで進んだか、つまりCVR側の数字はこちらで見ます
どちらも、デザイナーが自分で設定できなくても大丈夫です。閲覧の権限をもらって、担当したバナーの数字を見るところから始めてください。「この数字はどの画面で見られますか」と聞けるだけで、改善の話し合いに加われます。
ABテスト:2案を同時に出して比べる
直す場所が分かったら、次は「どう直すと良くなるか」を確かめます。ここで使うのがABテストです。
やることは単純で、A案とB案の2つを同じ期間に出し分けて、数字が良いほうを採用する。これだけです。
大事なルールが2つあります。
- 同時に出す:先週A案・今週B案の比較はNG。季節やニュースで条件が変わるので、差の原因が分からなくなります
- 変えるのは1箇所だけ:コピーと写真を同時に変えると、勝っても理由が分かりません。理由が分からない勝ちは、次に活かせません
アクセスが少ないうちは、小さな差は偶然で出ます。数十クリック程度の差で結論を出さず、テストするなら「コピーを丸ごと変える」くらい大きな違いで比べてください。
改善サイクルの4ステップ
実務では、この4つを繰り返します。

- 数字を見て弱点を特定する:CTRとCVRのどちらが低いかで、直す場所を決める
- 仮説を立てる:「(現状)だから、(変更)すれば、(結果)になるはず」の形で書く
- 1箇所だけ変えたB案を作る:仮説に対応する1箇所以外は、A案のまま
- 期間を決めて比べ、勝った理由をメモする:採用して、次の仮説へ
仮説の例を1つ。「ボタンが『送信』という操作の言葉だから、『無料で資料を受け取る』に変えれば、CVRが上がるはず」。前のレッスンで学んだ知識が、そのまま仮説の材料になっていますよね。
バナーとLP、どこから変えるか
変える候補はたくさんありますが、影響の大きい場所から試すのが定石です。
| 効きやすい順 | 関連レッスン | |
|---|---|---|
| バナー(CTRを上げる) | キャッチコピー→メインの写真→CTAの文言→配色 | キャッチコピーと訴求軸 |
| LP(CVRを上げる) | ファーストビュー→CTAまわり→証拠の順番 | LPの構成 |
共通するのは、言葉から先に試すこと。色や飾りの調整より、コピーの変更のほうが数字が動きやすいからです。マーケティング編でコピーと構成を先に学んだのは、この順番のためでした。
ミニ実践:バナー1枚に仮説を3つ書く
10分の課題です。紙とペンだけでできます◎
- 自分が作ったバナーを1枚用意します。なければ、Webで見かけた広告バナーで構いません
- 「ABテストするなら何を変えるか」を、「(現状)だから、(変更)すれば、(結果)になるはず」の形で3本書きます
- 3本を、数字が動きそうな順に並べ替えます。言葉→写真→色の順を思い出してください
- 1位の仮説について、実際にB案のラフを描いてみます
この「仮説を書いてから作る」練習をしておくと、配信の仕組みがない案件でも通用します。仮説つきでデザイン案を出せる人は、修正指示を待つ人と見られ方が変わりますよ。
やってしまいがちな失敗
一度に何箇所も変える
「どうせ変えるなら全部」とやると、勝っても負けても理由が分かりません。
直し方は、仮説1つにつき変更1箇所と決めること。急がば回れで、結局この方が学びが速く貯まります。
時期をずらして比べる
「先月のA案と今月のB案」の比較は、季節・曜日・キャンペーンの影響が混ざります。
直し方は、同時に出し分けること。広告の管理画面やテストツールに、出し分けの機能があります。
結果を記録しない
テストしたのに、何が勝ってなぜ勝ったかをメモしないと、半年後に同じテストを繰り返します。
直し方は、「日付・変えた箇所・仮説・結果・考えた理由」を1行ずつ表に残すこと。この表がチームの資産になります。
よくある質問
次に学ぶこと
今回の要点と、マーケティング編のまとめです。
- CTR=押したくなるか、CVR=行動まで導けたか。2つで弱点の場所が分かる
- ABテストは「同時に・1箇所だけ」。目的は理由の積み重ね
- サイクルは、弱点特定→仮説→B案→比較と記録
- 変えるのは言葉から。コピー→写真→色の順で数字が動きやすい
マーケティング編はここまでです。誰に届けるかを決め、コピーを書き、LPを組み、CTAを磨き、数字で確かめる。この一連の流れが「成果の出るデザイン」の土台になります。
次はクリエイティブ編。バナー・SNS・LPなど、制作物ごとの実務に入っていきますよ。

コース全体の流れはデザインの基本コース目次から確認してください。
