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暖色と寒色の使い分け方|見分け方と印象を決める配色の手順

第3章 配色 読了目安 9分

INDEX目次

    「あたたかい感じにして」「もっと涼しげに」。この指示、何をどう変えればいいか分かりますか?

    答えは色相です。暖色に寄せるか、寒色に寄せるか。ここを動かすだけで、同じレイアウトのまま印象が変わります。
    このレッスンでは、暖色と寒色の見分け方から始めて、それぞれが伝える印象、大きさの見え方の違い、そして色彩心理をどこまで信じていいかまで扱います。
    最後は同じバナーを暖色版と寒色版で作り分ける課題です。自分の手で並べると、違いが体で分かります◎

    もくじ

    暖色と寒色の分かれ目

    暖色は赤・橙・黄。火や太陽の色から来た呼び名です。寒色は青・青緑・青紫。水や氷の色から来ています。

    色相環を縦にまっすぐ割ると、右半分が暖色、左半分が寒色です。境目にいる緑と紫は中性色と呼びます。どちらにも寄れる色で、隣に置く色しだいで暖かくも涼しくも見えます。

    色相環を暖色・中性色・寒色に分けた図解。赤から黄までが暖色、青緑から青紫までが寒色、あいだの緑と紫が中性色にあたることを輪と3枚のカードで示している
    分類入る色覚え方
    暖色赤・赤橙・橙・黄橙・黄火と太陽の色
    中性色黄緑・緑・紫・赤紫どちらにも寄れる色
    寒色青緑・青・青紫水と氷の色
    無彩色白・グレー・黒色みがないので分類の外

    迷ったときの見分け方は1つ。その色に黄色が混ざっていれば暖色、青が混ざっていれば寒色です。ピンクは赤に白なので暖色、水色は青に白なので寒色になります。

    同じ「緑」でも、黄色寄りの黄緑は暖かく、青寄りの青緑は涼しく見えます。色相そのものの考え方は配色の基本で扱っています。

    暖色が伝えるもの

    暖色は近づける色です。元気・親しみ・食欲・お得感。人の気持ちを前に出したいときに使います。

    暖色3色の使いどころ
    • :強い・急ぎ・情熱。セール、締め切り、注意の表示に向きます
    • :明るい・親しみ・元気。子ども向け、飲食、スポーツに向きます
    • :目立つ・楽しい・注意。目に入る力が最も強い色です

    飲食のチラシに暖色が多いのは、食材の色そのものが暖色だからです。トマトの赤、パンの焼き色、卵の黄。背景も暖色にすると馴染みます。
    マクドナルドの看板が赤と黄でできているのも同じ理由です。遠くからでも目に入って、しかも食べ物の色と揃っています。

    気をつけたいのは、暖色は使いすぎると落ち着かなくなるところです。文章が長いページの全面を赤にすると、最後まで読んでもらえません。

    寒色が伝えるもの

    寒色は引く色です。落ち着き・清潔・信頼・涼しさ。相手に考えてもらいたいとき、安心してもらいたいときに使います。

    寒色3色の使いどころ
    • :信頼・誠実・清潔。企業、金融、医療、IT。仕事の場でいちばん多く見かける色です
    • 青緑:清涼・すっきり。夏の告知、水回り、歯科に向きます
    • 青紫:静か・落ち着き・大人。夜のイベント、リラックス系の商材に向きます

    企業サイトに青が多いのは、信頼と清潔を同時に伝えられるからです。銀行と病院のサイトを3つずつ開いてみてください。ほとんどが青系のはずです。

    弱点は、寒色だけだと冷たく感じることです。人に寄り添う雰囲気を出したいのに全部青にすると、事務的に見えます。
    直し方は、アクセントの5%だけ暖色を入れること。青ベースのページで申し込みボタンだけ橙にすると、落ち着きと押しやすさが両立します。

    大きさと距離の見え方が変わる

    暖色と寒色は、印象だけでなく見た目のサイズと距離も変えます。

    暖色寒色
    距離の見え方手前に出て見える(進出色)奥に引いて見える(後退色)
    大きさの見え方大きく見える(膨張色)小さく見える(収縮色)
    使いどころ主役、ボタン、価格背景、余白、脇役

    同じ直径の丸を赤と青で並べると、赤のほうが大きく見えます。実際のサイズは同じです。
    背景を寒色、主役を暖色にすると、大きさを変えなくても主役が前に出ます。

    背景に暖色、主役に寒色を置くと、主役が奥に沈みます。目立たせたい要素が沈んでいると感じたら、色相の前後関係を疑ってください。

    色彩心理学はどこまで信じるか

    色彩心理学は、色が人の気持ちや行動に与える影響を調べる分野です。「赤は食欲を増す」「青は集中を助ける」といった話の出どころがここです。

    実務で使うときは、3つ押さえておくと外しません。

    1. 意味は文脈で変わる:赤はセールの色でもあり、エラーの色でもあり、祝いの色でもあります。同じ赤が場面ごとに違う意味になります
    2. 業界の常識が優先する:銀行が赤基調だと不安に見えます。理論より、その業界で見慣れた色が強く働きます
    3. 色だけで決まらない:形・写真・言葉と合わさって印象ができます。色を変えるだけで売上が上がる、とは考えないでください

    色彩心理は根拠ではなく、最初の一手を選ぶための目安です。暖色か寒色かで当たりをつけて、あとは実物を並べて選びます。

    どちらに寄せるかの決め方

    判断は3ステップで足ります。順番に答えていくと、色相の方向が決まります。

    寄せる方向を決める3つの問い
    1. 見た人にどう動いてほしいか:今すぐ動いてほしいなら暖色、じっくり読んで検討してほしいなら寒色
    2. 商材が体に近いか:食べ物・体験・人が関わるものは暖色、機器・金融・データを扱うものは寒色が馴染みます
    3. 競合と同じ色になっていないか:業界の定番色をそのまま使うと埋もれます。定番に寄せたうえで、アクセントだけ反対側に振ると差がつきます

    決まらないときは寒色から始めてください。落ち着いた失敗は目立ちません。

    ミニ実践:同じバナーを暖色版と寒色版で作る

    違いは並べると一目で分かります。同じ内容のバナーを2枚作ります。所要時間は20分ほど、無料のCanvaで足ります。

    同じレイアウトのバナーを寒色版と暖色版で作り分けた比較図解。配置も文字サイズも変えず色相だけを変えると、落ち着いた印象と急かされる印象に分かれることを示している
    1. お題を1つ決めます。「夏のオンライン講座 受付開始」のように、暖色でも寒色でも成立するものを選びます
    2. Canvaで正方形のバナーを1枚作ります。要素は見出し・日付・ボタンの3つだけです
    3. 1枚目を寒色で作ります。背景を青系、文字を白、ボタンを濃い青にします
    4. そのバナーを複製します。レイアウトは1mmも動かしません
    5. 複製したほうの色だけを暖色に変えます。背景を橙系、文字を白、ボタンを濃い赤にします
    6. 2枚を左右に並べて、スマホの画面で見ます。実際に見るサイズで確かめるためです
    7. 受ける印象の違いを言葉で3つ書き出します。「急かされる」「落ち着く」など、思ったままで構いません
    8. お題に合うのはどちらか決めて、理由も1行書いておきます

    4番の「レイアウトを動かさない」を守ってください。配置も一緒に変えると、色の効果だけを見られなくなります💡

    できたら次のチェックリストで確認してください。

    仕上がりチェック
    • 2枚のレイアウトが完全に同じ
    • 変えたのは色相だけ(文字サイズや位置は同じ)
    • どちらの版も文字が読める明度差を保てている
    • 印象の違いを3つ言葉にできた
    • お題に合うほうを理由つきで選べた

    やってしまいがちな失敗

    暖色と寒色を半分ずつ使う

    赤と青を同じ面積で置くと、両方が主張して主役が決まりません。
    直し方は、どちらかをベースに決めて、もう片方をアクセントの5%だけに絞ることです。7割を占める色が、その作品の性格になります。

    印象を色だけで作ろうとする

    「あたたかい感じ」を色相だけで出そうとして、赤を強くしていく失敗です。彩度が上がるほど、あたたかさより騒がしさが出ます。
    直し方は、色相・明度・彩度の3つを一緒に動かすことです。あたたかさなら、色相を橙寄りにして、明度を上げて、彩度は少し下げます。

    写真と背景の温度がずれる

    青っぽい写真の上に橙の見出しを置くと、写真だけ浮きます。
    直し方は、写真側の色温度(写真全体が青寄りか橙寄りかの度合い)を調整することです。Canvaやスマホの編集で「暖かさ」のスライダーを動かせば数秒で寄せられます。背景の色に写真を合わせるほうが、直しが早く終わります。

    よくある質問

    暖色と寒色の違いは何ですか?

    色相の位置が違います。赤・橙・黄が暖色、青緑・青・青紫が寒色です。境目にある緑と紫は中性色と呼び、どちらにも寄れます。
    見た目の働きも逆です。暖色は手前に出て大きく見え、寒色は奥に引いて小さく見えます。
    白・グレー・黒には色みがないので、暖色にも寒色にも入りません。無彩色として別扱いにします。

    暖色と寒色の効果の違いは何ですか?

    暖色は気持ちを前に出します。元気・親しみ・食欲・お得感が伝わるので、セール告知や飲食の広告に向きます。
    寒色は気持ちを落ち着かせます。信頼・清潔・涼しさが伝わるので、企業サイトや医療、金融に向きます。
    ただし色だけで結果は決まりません。写真や言葉と合わさって印象ができるので、色は最初の一手を選ぶ目安として使ってください。

    グレーは寒色ですか?暖色ですか?

    どちらでもありません。グレーは白と黒だけでできた無彩色で、色みを持たないからです。白と黒も同じ扱いです。
    ただし実務では、わずかに色みを足したグレーをよく使います。青を少し混ぜた寒色系のグレーはすっきり見え、黄や赤を少し混ぜた暖色系のグレーは柔らかく見えます。
    作品全体が暖色なら暖かいグレー、寒色なら冷たいグレーを合わせると馴染みます。純粋な無彩色のグレーだけだと、浮いて見えることがあります。

    寒色と暖色の見分け方は?

    その色に黄色が混ざっていれば暖色、青が混ざっていれば寒色です。この1点で判断できます。
    迷いやすいのはピンクと緑です。ピンクは赤に白を足した色なので暖色。緑は中性色ですが、黄緑寄りなら暖かく、青緑寄りなら涼しく見えます。
    ツールで確かめるなら、カラーピッカーで色相の角度を見てください。0度から60度あたりが暖色、180度から270度あたりが寒色です。

    次に学ぶこと

    このレッスンの要点です。

    • 暖色は赤・橙・黄、寒色は青緑・青・青紫。緑と紫は中性色
    • 黄が混ざれば暖色、青が混ざれば寒色。この1点で見分けられる
    • 暖色は手前に出て大きく見え、寒色は奥に引いて小さく見える
    • 色彩心理は根拠ではなく、最初の一手を選ぶ目安
    • どちらかをベースに決めて、反対側はアクセントの5%に絞る

    寄せる方向が決まったら、次は使う色を実際に選ぶ段階です。カラーパレットの作り方で、ベース・メイン・アクセントの3色を決めて保存するところまで扱います。
    2色以上をどう組み合わせるかは補色と配色の型、色を段階的につなぐ方法はグラデーションの使い方にあります。

    ほかのレッスンはデザインの基本コース目次から選べます。

    第3章 配色 の他のレッスン

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