チラシは、手に取ってから捨てるかどうか決まるまで数秒です。その数秒で内容を伝える紙面のレイアウトを、このレッスンで作れるようにします。
Webと違って、チラシは刷ったら直せません。紙面設計→折り→印刷入稿(印刷会社へ印刷データを渡すこと)という、紙ならではの流れもここでまとめて押さえます。
チラシレイアウトの基本はZの視線
紙面を見るとき、目は左上→右上→左下→右下の順に動きます。アルファベットのZをなぞる動きなのでZ型の視線と呼びます。チラシはこのZに沿って情報を置きます。
実務では、A4の紙面を横に3ブロックに割ると設計しやすいです。

- 上段:キャッチコピーとメインビジュアル。目を止めてもらう
- 中段:内容。何が・いつ・どんな良いことがあるか
- 下段:行動情報。日時・場所・地図・連絡先・QRコード
視線の終点になる右下は、行動情報の指定席です。問い合わせ先やQRコードを右下に置くと、読み終えた目がそのまま次の行動に移れます。
両面刷りなら、役割を分けます。表面はZの3ブロックで興味を引き、裏面に料金表や詳しい説明を載せる。表に全部詰め込まないのがコツです。
紙面を読みやすくする3つのコツ
区切りは枠線より余白で作る
情報のまとまりを枠線で囲みたくなりますが、線が増えるほど紙面は狭く見えます。まず余白でブロックを分けて、線は最後の手段にします。余白の取り方は余白の使い方で解説しています。
ジャンプ率は高めにつける
チラシは、離れた場所からでも目に入る紙面が有利です。キャッチコピーと本文の大きさの差(ジャンプ率)を、Webの画面より思い切って大きくつけます。
書体は2種類まで
にぎやかにしたいときも、書体を増やすより大きさと色で変化をつけます。書体が3種類を超えると、紙面がまとまらなくなります。
折りの種類と面の役割
チラシは1枚ものだけではありません。折ると面が増えて、読む順番まで設計できるようになります。

| 折り方 | 面の数 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 折りなし(フラット) | 2面 | ポスティング・新聞折込 |
| 二つ折り | 4面 | 会社案内・メニュー表 |
| 巻き三つ折り | 6面 | パンフレット・封筒に入れるDM |
| Z折り(外三つ折り) | 6面 | 地図・手順の説明 |
折りものは、表紙→開いた面→裏表紙の順に読む前提で設計します。表紙で興味を引いて、開いた面で内容を伝えて、裏表紙に連絡先。1枚ものより、話の順番を作りやすいのが折りの強みです。
巻き三つ折りは、内側に折り込む面を2mmほど狭くする調整が要ります。折りものを作るときは、印刷会社が配っているテンプレートを使うのが確実です。
なお、紙のサイズはA4が基本です。手配りならA5やB5も選びます。小さくするほど載る情報が減るので、情報量からサイズを決めてください。
印刷入稿までの流れ
紙のデータには、画面の中だけでは見えない決まりごとがあります。順番に押さえれば難しくありません。

- サイズと塗り足しを設定する:仕上がりサイズ(A4なら210×297mm)の四辺に3mmの塗り足し(断裁のズレに備えて、絵柄を仕上がりの外まで伸ばしておく部分)をつける
- 文字は端から10mm内側に置く:断裁(印刷後に紙を仕上がりサイズへ切る工程)が少しズレても文字が切れないようにする
- 色をCMYKで作る:CMYKは印刷インク用、RGBは画面表示用の色の作り方。画面のRGBのまま入稿すると、刷り上がりの色がくすむ
- 画像は350dpiを目安にする:解像度(画像のきめ細かさ。dpiはその単位)が足りないと、印刷でぼやける
- 入稿してチェックを待つ:文字のアウトライン化など、入稿形式は印刷会社ごとに違う
CMYKや色校正のくわしい話は第7章の特色印刷と色校正、塗り足しやアウトライン化などの用語は入稿・校正の用語で解説しています。
ミニ実践:A4をZで3ブロックに割る
道具は紙と鉛筆だけ。10分で紙面設計の型を体に入れます。
- A4のコピー用紙を縦に1枚用意します(ノートでも大丈夫です)
- 横線2本で、上・中・下の3ブロックに割ります
- 題材を決めます(例:近所のパン屋の新商品フェア)
- 上段にキャッチコピーと写真の位置、中段に内容、下段に日時・場所・地図をラフに置きます
- 腕を伸ばして紙を遠ざけ、最初に目に入るのがキャッチコピーか確かめます
レイアウトは、ツールを開く前に紙で決めるほうが速いです。ラフの段階でZの流れができていれば、清書はそれをなぞるだけになります◎
清書まで進んだら、刷る前にこのチェックリストで確認してください。
- 腕を伸ばして見て、最初にキャッチコピーが目に入る
- 日時・場所・連絡先がそろっていて、誤字がない
- 大事な文字が紙の端から10mm以上内側にある
- 塗り足し3mmがついていて、色はCMYKになっている
よくある質問
次に学ぶこと
整理します。紙面はZの視線で上・中・下の3ブロック。区切りは余白、ジャンプ率は高め、書体は2種類まで。入稿は塗り足し3mm・文字は10mm内側・CMYK・350dpi。
次のレッスンは「名刺・ショップカードの実務」。今回より小さい91×55mmの紙面で、情報を絞る練習をします。

学ぶ順番の全体はデザインの基本コースにまとめています。
