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テクスチャとパターンの使い分け|デザインに質感を足す手順と加減

第5章 装飾とビジュアル表現 読了目安 8分

INDEX目次

    色も文字も決めたのに、なんだか安っぽい。平らでのっぺりして見える。そんなときに効くのがテクスチャです。

    やることは、背景に薄い質感を1枚重ねるだけ。作業は5分もかかりません。ただし、濃さを間違えると一気に読みにくくなります。

    このレッスンでは、テクスチャとパターンの違いから始めて、重ねる場所・濃さの目安・やりすぎのサインまでを見ていきます。最後に、同じ背景で載せる前と後を見比べる練習をします◎

    もくじ

    テクスチャとパターンの違い

    どちらも面を埋める模様ですが、目的が違います。

    テクスチャは、素材の質感を表すものです。紙のざらつき、布の織り目、木目、コンクリート。日本語にすると「質感」や「肌ざわり」にあたります。見る人に模様として気づかせないくらい薄く使うのが基本です。

    パターンは、同じ形を規則的に繰り返す模様です。水玉、ストライプ、チェック。こちらは気づかせるために使います。繰り返しの規則が見えることが役割そのものです。

    テクスチャとパターンの違いを比べた図解。テクスチャは紙や布の質感を薄く敷いて模様として気づかせないもの、パターンは水玉やストライプを規則的に繰り返して見せるものだと示している
    テクスチャパターン
    役割質感を出す模様として見せる
    見え方気づかせない気づかせる
    置く場所背景の全面背景の一部・帯・囲み
    濃さの目安不透明度5〜15%そのまま使ってよい
    紙、布、木目、金属水玉、ストライプ、チェック

    迷ったときの判断は1つです。模様に気づいてほしいならパターン、質感だけ足したいならテクスチャ。この2つを同じ濃さで使うと、どちらも中途半端になります。

    テクスチャを足すと何が変わるか

    単色の背景は、どうしても平らに見えます。悪いわけではありませんが、そこに紙の質感を薄く重ねると、印象が変わります。

    テクスチャを足す前と後を比べた図解。単色だけの平らな背景のバナーと、同じバナーの背景に紙の質感を薄く重ねたものを並べ、色や文字は変えずに質感だけを足していることを示している

    変わるのは主に3つです。

    • 手ざわりが想像できる:紙や布の質感が、そのまま印象になります
    • 色の単調さが減る:わずかな明暗のムラが、面に奥行きを作ります
    • 写真との差が埋まる:写真の隣に置いた単色の面が、浮かなくなります

    3つ目は実務でよく助かるところです。写真は情報量が多いので、その横の単色部分がのっぺり見えます。背景に薄い質感を足すと、写真と背景が同じ画面の中に収まって見えます。

    使いどころも身近な例で見分けられます。無印良品の紙袋やパッケージは、紙のざらつきをそのままデザインの一部にしています。反対に、LINEやInstagramの画面には質感がありません。背景はどこも単色です。手ざわりを想像させたいものには効き、機能を素早く使わせたい画面では邪魔になると考えてください。

    ただし、質感は雰囲気を強く決めます。紙は温かく素朴に、金属は硬く先進的に、布はやわらかく見えます。ブランドの雰囲気と合う素材を選んでください。ここはトンマナの話とつながります。

    重ねる場所と濃さの目安

    手順は3つだけです。

    1. いちばん下の背景の上に置く:写真や文字より下の層に入れます
    2. 不透明度を5〜15%まで下げる:最初は10%から始めて、目で調整します
    3. 文字の裏だけ薄くする:読みにくければ、文字の下に単色の帯を敷きます
    テクスチャの濃さを3段階で比べた図解。不透明度5パーセントは足りない、10から15パーセントがちょうどよい、40パーセントは模様が主役になって文字が読みにくくなることを示している

    不透明度は、その層の透け具合を決める設定です。100%で完全に見えて、0%で消えます。CanvaでもPhotoshopでも、素材を選ぶと出てくるスライダーがそれです。

    濃さの判断は、画面を見る距離で変わります。近くで見て「質感があるな」と分かる程度だと、たいてい濃すぎます。3歩離れて模様が見えないくらいがちょうどいい濃さです。

    文字の上にテクスチャを重ねてはいけません。文字の輪郭がぼやけて、読みやすさだけが落ちます。重ねるのは背景の層だけです。

    読みやすさの基準は視認性・可読性・判読性で扱っています。テクスチャを足したあとに文字が読みにくくなったら、そちらの基準で確認してみてください。

    やりすぎのサインと直し方

    作業しているときは気づきません。次のどれかに当てはまったら、濃さを半分に落とします。

    やりすぎのサイン
    • 模様のほうが先に目に入る
    • 文字の輪郭がにじんで見える
    • スマホで見ると細かい模様が消えている、または汚れに見える
    • 1つの画面に質感の違う素材が2種類以上ある
    • 白い余白まで模様で埋まっている

    3つ目は見落としがちです。パソコンの画面で作ると細かい模様もきれいに見えますが、スマホに縮めると潰れて、ただの汚れに見えることがあります。作りながらスマホで確認してください。

    4つ目もよくある失敗です。紙と木目を同時に使うと、どちらの質感なのか分からなくなります。1つの作品につき素材は1種類にしてください。

    パターンを使うときの決め方

    パターンは見せる模様なので、テクスチャとは扱いが変わります。決めることは3つです。

    パターンで決める3つ
    • 単位の大きさ:繰り返す1個の大きさ。小さいほど落ち着き、大きいほど元気に見えます
    • 使う面積:全面ではなく、帯や囲み、余白の一部だけに置くと扱いやすいです
    • 色数:2色までにします。3色を超えると、その部分だけ主役になります

    模様が続いて見えるようにするには、継ぎ目が分からない単位を作ります。四角い1マスの中で、右端から出た形が左端から入り、下端から出た形が上端から入るように置くと、並べたときに切れ目が消えます。

    拡大しても線がぼやけない形式で作っておくと、大きなポスターにも小さなバナーにも使い回せます。形式の選び方はラスターとベクターを読んでみてください。

    ミニ実践:同じ背景で載せる前と後を比べる

    所要10分。無料のツールだけで進められます。

    1. Canvaなどで正方形のキャンバスを作り、背景を好きな1色で塗ります
    2. 中央に見出しを1行、下に小さい文字を1行だけ置きます
    3. この状態を画像として書き出します(これがBefore)
    4. 無料素材から紙のテクスチャを1枚探して、背景の上に全面で置きます
    5. そのテクスチャの不透明度を10%まで下げます。文字は上の層のままにします
    6. もう一度書き出して、Beforeと横に並べます(これがAfter)

    並べて初めて差が分かります。1枚だけ見ていると、載せたことにすら気づきません。それでちょうどいいんです。

    余力があれば、不透明度を40%まで上げたものも作ってください。「足りない」より「多すぎる」ほうが失敗として分かりやすいので、上限の感覚がつかめます。

    よくある質問

    テクスチャを日本語で言うと何になりますか?

    「質感」がいちばん近い訳です。場面に応じて「風合い」「肌ざわり」とも言います。
    デザインの現場では、紙・布・木目・金属といった素材の表面を写した画像そのものを指して「テクスチャ」と呼びます。カタカナのまま使うのが普通です。

    テクスチャとパターンはどう使い分けますか?

    模様に気づいてほしいかどうかで分けます。
    テクスチャは質感を足すためのもので、見る人に模様として意識させません。だから薄くします。
    パターンは模様として見せるためのもので、繰り返しの規則が見えることに意味があります。だから濃さは落としません。
    同じ画面で両方使うと、どちらも中途半端になります。どちらか1つに決めてください。

    テクスチャとマテリアルの違いは何ですか?

    3Dの制作で出てくる区別です。テクスチャは物の表面に貼る画像そのもの、マテリアルは「その物がどんな素材か」を決める設定全体を指します。マテリアルの中に、テクスチャや光の反射の強さなどが含まれます。
    平面のデザインでは、この区別を使いません。素材の表面を写した画像を、そのままテクスチャと呼んで大丈夫です。

    無料のテクスチャ素材はどう選べばいいですか?

    大きめの画像を選んでください。拡大すると粒が荒れるので、使うサイズより大きいものを落とします。
    そのうえで確認するのは、商用利用の可否、クレジット表記の要否、改変してよいかの3点です。
    素材が見つからないときは、単色の背景にごく薄い影を全体にかけるだけでも、平らな印象は減ります。

    次に学ぶこと

    今回のまとめです。

    • テクスチャは質感を足すもの。気づかせない濃さで使う(不透明度5〜15%)
    • パターンは見せる模様。単位の大きさ・面積・色数を決めて使う
    • 重ねるのは背景の層だけ。文字の上には載せない
    • 1つの作品で使う素材は1種類まで

    次のレッスンはキービジュアルとメインビジュアルです。背景・写真・文字をまとめて1枚にする話で、ここで学んだ質感の使いどころが出てきます。
    面の見せ方をもっと増やしたい方はグラデーションの使い方もどうぞ。

    コース全体の流れはデザイン基礎知識コースの目次から確認できます。

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