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版面の決め方と版面率の目安|デザインの現場で使う天地・アール・帯

第2章 レイアウト 読了目安 9分

INDEX目次

    「版面(はんめん)を広げて」「天地をもう5mm空けて」——現場で飛んでくる言葉に、うなずくだけで終わっていませんか?

    これらは難しい理論ではなく、紙面のどこを指しているかを一言で言うための呼び名です。覚えれば指示が一発で通ります。
    このレッスンでは、版面と天地というレイアウトの土台になる2語から始めて、マド・帯・座布団・アールといった制作現場の言い回しまでまとめて扱います。
    最後は手元のチラシを1枚使って、版面と天地を実際に測る練習です。測ると、上手なデザインが何mmで作られているか分かりますよ◎

    もくじ

    版面はマージンの内側の領域

    版面は、紙面や画面の中で文字や写真を実際に置く領域です。読み方は「はんめん」。印刷の現場では「はんづら」と読む人もいます。どちらでも通じます。

    紙のいちばん外側から内側へ向かって、こう並びます。紙全体 → マージン(余白) → 版面。マージンを引いた残りが版面です。

    版面の位置を示した図解。紙の外側から順にマージン、その内側が版面で、上下の余白を天と地、冊子の綴じ側をノド、開く側を小口と呼ぶことを紙面図とあわせて説明している

    版面を先に決めると、あとの配置が速くなります。置ける範囲が決まるので、要素を1つずつ動かして迷う時間が消えるからです。

    多くの人は左上から要素を置いていきます。すると端に寄りすぎたり、ページごとに余白が違ったりします。
    先に「上下20mm・左右15mmは空ける」と決めてしまえば、あとはその内側に置くだけです。冊子なら全ページで同じ版面を使います。めくっても文字の位置が動かないので、読む人が落ち着いて読めます。

    新聞を思い出してください。どのページを開いても、文字の始まる位置が同じです。版面を1度決めて、全ページで使い回した結果です。

    天地と左右の呼び分け

    天地は上下のことです。上が「天」、下が「地」。「天地を10mm空ける」は「上下の余白を10mmにする」という意味です。

    左右にも呼び名があります。冊子やページものだと、綴じてある側が「ノド」、開く側が「小口(こぐち)」です。1枚もののチラシやバナーなら、素直に「左右」で構いません。

    呼び名指す場所使う場面
    紙面の上端「天を5mm詰める」
    紙面の下端「地に社名を置く」
    天地上下まとめて「天地中央に置く」
    ノド冊子の綴じ側「ノドは広めに取る」
    小口冊子の開く側「小口に指がかかる」

    「天地中央」は上下の真ん中。左右の真ん中は「左右中央」、両方なら「天地左右中央」です。

    冊子でノドを広めに取るのは、綴じた部分がへこんで文字が読めなくなるからです。40ページを超えるなら、ノド側だけ5mmほど足しておくと安全です。

    版面率で紙面の印象が決まる

    版面率は、紙面全体に対して版面がどれくらいの面積を占めるかの割合です。これが印象をほぼ決めます。

    版面率の高い紙面と低い紙面を比べた図解。余白をほとんど取らず情報を詰めた版面率80%のチラシと、上下に大きく余白を取った版面率50%の広告を並べ、印象の違いを示している
    版面率が高い(80%前後)版面率が低い(50%前後)
    余白狭い広い
    印象にぎやか・元気・お得上品・落ち着き・高級
    情報量多く載る絞ることになる
    向く題材スーパーのチラシ、セール告知ブランドサイト、ホテル、化粧品

    安いものを売るチラシは版面率が高く、高いものを売る広告は版面率が低い。街で見かける印刷物を思い出すと、だいたい当てはまります。

    無印良品の広告が分かりやすい例です。写真と短い文だけを置いて、上下を大きく空けています。版面率の低い作り方です。

    作るときは、先に版面率を決めてから情報を載せます。順番が逆だと、入りきらないぶんを余白から削ることになり、目指した印象と違うものができます。
    情報が多すぎて版面率が上がるなら、それは配置ではなく原稿の問題です。文章を短くするか、項目を減らすほうが早く解決します。

    余白そのものの取り方は余白の使い方で数字の決め方まで扱っています。あわせて読むと、版面率を狙った値に合わせやすくなります。

    現場で飛び交うレイアウト用語

    版面と天地が分かれば、あとは部品の呼び名です。よく使う4つを覚えておけば、指示のほとんどは読めます。

    制作現場のレイアウト用語を4枚のカードで説明した図解。写真を入れる枠のマド、紙面を横切る帯、文字の後ろに敷く座布団、角の丸みを指すアールを、それぞれの見本つきで並べている

    マド

    マドは、写真や図版を入れるために四角く空けた枠です。「ここにマドを作って」は「写真の入る四角い枠を用意して」という意味になります。
    写真が後から届く案件で、先にレイアウトを組むときによく出ます。マドのサイズを先に決めておくと、写真が変わってもレイアウトが崩れません。

    帯・上帯・下帯

    は、紙面を横切る帯状の色面です。上端にあれば上帯、下端にあれば下帯と呼びます。
    役割は情報を1本にまとめること。下帯に会社名・電話番号・URLを入れると、それが「連絡先のかたまり」だと一目で伝わります。帯の色を変えるだけで、本文と別の情報だと分かります。

    座布団

    座布団は、文字の後ろに敷く色面です。「座布団を敷く」と言います。
    写真の上の文字が読めないとき、後ろに白や黒の面を敷いて読めるようにします。写真の柄が強いほど効きます。範囲は文字のまわりだけにしてください。大きく広げると、座布団のほうが目立ちます。

    アール

    アールは角の丸みです。英語のradius(半径)から来ています。「アールをつける」で角を丸くする、「アール2mm」で半径2mmの丸みという意味です。
    丸みが大きいほど、やわらかく親しみやすくなります。角のままだと、きちんとした印象や硬い印象になります。
    1つの作品の中でアールの大きさをそろえてください。ボタンだけ4mm、写真だけ12mmのように混ざると、まとまりがなくなります。

    用語は暗記しなくて大丈夫です。指示をもらったときに紙面のどこを指しているか分かれば、それで足ります。

    ミニ実践:チラシの版面と天地を測る

    版面は測ると一気に身につきます。ポストに入っていたチラシを1枚使います。所要時間は10分、道具は定規だけです。

    チラシを測る手順
    1. チラシを1枚選びます。スーパーのチラシと、住宅やエステの広告を1枚ずつ用意すると比べられます
    2. いちばん上にある文字や写真の位置から、紙の上端までの距離を測ります。これが天の余白です
    3. 同じように、下端・左端・右端も測ります。合計4か所です
    4. 4つの数字をチラシの端にメモします。上下がそろっているか、左右がそろっているか見てください
    5. 余白を引いた内側の四角が版面です。鉛筆で薄く線を引くと見えます
    6. 版面の面積が紙全体の何割くらいか、目分量で構わないので出します。これが版面率です
    7. 2枚を並べて、版面率と受ける印象を比べます

    スーパーのチラシは端まで詰まっていて、余白が5mmもないはずです。住宅やエステの広告は上下に大きく余白を取っています。同じ紙のサイズで印象が違う理由は、絵のうまさではなく余白の量です💡

    測ったあとに、次のチェックリストで確認してください。

    版面のチェック
    • 天と地の余白の数字を書き出せた
    • 左右の余白が同じ数字かどうか確かめた
    • 版面の四角が紙面に見えるようになった
    • 版面率の高い低いで印象が変わると言葉で説明できる
    • 自分の作りかけの作品で、版面を先に決められそうだと分かった

    やってしまいがちな失敗

    ページごとに版面が違う

    冊子や複数ページの資料で、ページごとに文字の開始位置がずれる失敗です。めくるたびに文字が動いて、読む人が落ち着きません。
    直し方は、1ページ目で版面を決めて、そのガイド線を全ページに複製することです。IllustratorやFigmaならガイドを引いて固定します。パワーポイントでもスライドマスターで同じことができます。

    紙の端まで文字を置く

    印刷すると、断裁(刷り上がった紙を仕上がりサイズに切る工程)の位置は数mmずれます。端ぎりぎりの文字は切れます。
    直し方は、文字は紙の端から最低でも5mm、できれば10mm内側に入れることです。逆に背景の色や写真を端まで敷きたいときは、紙より3mm大きく作ります。これを塗り足しと呼びます。

    情報が入らないから余白を削る

    入りきらないときに余白から削ると、版面率だけが上がって窮屈になります。
    直し方は、削るのを情報のほうに変えることです。文章を1行短くする、写真を1枚減らす。減らしたほうが伝わる量は増えます。

    よくある質問

    「版面」とは何と読みますか?

    「はんめん」と読みます。印刷や編集の現場では「はんづら」と読む人もいて、どちらも同じものを指します。
    意味は、紙面や画面の中で文字や写真を実際に置く領域です。外側の余白を引いた内側の四角、と覚えてください。
    読み方で迷ったら「はんめん」で大丈夫です。相手が「はんづら」と言ったら、同じものだと分かれば会話は続きます。

    レイアウトの4大原則は?

    近接・整列・反復・対比の4つです。関係のある情報を近づける、見えない線に揃える、同じルールを繰り返す、大事なものとの差をはっきりつける。この4つで見づらさの大半が消えます。
    版面は、この4原則を使う前の土台にあたります。置ける範囲を先に決めてから、その中で4原則を使う流れです。
    詳しくはデザインの4原則で扱っています。

    組版デザインとは?

    組版は、文字を紙面に並べて読める形に組む作業です。文字のサイズ、行の長さ、行間、段の数、改行の位置。この設計をまとめて組版と呼びます。
    版面が「どこに置くか」を決めるのに対して、組版は「置いた中身をどう並べるか」を決めます。版面を決めてから組版に進む順番です。
    行間や字間の決め方は文字詰めの基本で扱っています。

    紙面デザインとは何ですか?

    チラシ・ポスター・冊子・新聞など、紙の上のデザイン全般を指します。画面ではなく紙が対象、という意味で使います。
    Webと違うのは3つです。決まったサイズで完結すること、スクロールがないので1画面で伝えきること、印刷でずれるぶんの余裕を見込むこと。
    版面と天地の考え方は、紙でも画面でも同じように使えます。

    次に学ぶこと

    このレッスンの要点です。

    • 版面は、余白の内側にある「置いていい範囲」。先に決めると配置が速い
    • 天は上、地は下。冊子ならノド(綴じ側)と小口(開く側)
    • 版面率が高いとにぎやか、低いと上品。先に決めてから情報を載せる
    • マドは写真の枠、帯は情報をまとめる色面、座布団は文字の下敷き、アールは角の丸み

    第2章はここまでです。次は第3章の配色に進みます。配色の基本で、色相・明度・彩度の三属性から色の決め方を扱います。
    版面の内側をどう区切るかはグリッドレイアウト、要素どうしの間隔の決め方はマージンとパディングで続きが読めます。

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