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配色の基本|色の三属性とトーンで印象を決める手順

第3章 配色 読了目安 9分

INDEX目次

    色を選ぶたびに手が止まる。なんとなく選んで、なんとなく違う。そんな状態になっていませんか?

    実は、配色で迷う原因はほとんど1つです。色を「1色まるごと」で見ているから、直し方が分からなくなります。
    色は3つの数字に分解できます。色相・明度・彩度、この3つです。分解できると「もう少し落ち着かせたい」が「彩度を下げる」に翻訳できて、手が動くようになります。
    このレッスンでは、三属性とトーンの読み方、そして色の配分の決め方まで進みます。最後に同じバナーの色を変えて印象を比べる課題を用意しました。

    もくじ

    色彩と配色は別のもの

    まず言葉を整理します。色彩は色そのものの性質を指す言葉です。赤い、明るい、くすんでいる、といった1色の話をするときに使います。
    これに対して配色は、2色以上を組み合わせたときの関係の話です。同じ赤でも、隣に白を置くか黒を置くかで見え方が変わります。

    デザインで悩むのは、たいてい配色のほうです。1色だけ見て「いい色」を探しても答えは出ません。組み合わせたときにどう見えるかで決まるからです。
    まずは1色を分解するところから始めます。

    色の三属性:色相・明度・彩度

    どんな色も、3つの数字で言い表せます。この3つを色の三属性と呼びます。

    色相(しきそう):色みの違い

    赤・橙・黄・緑・青・紫といった、色そのものの種類です。これを輪の形に並べたものが色相環です。
    色相が変わると、伝わる意味が変わります。青は落ち着き、赤は熱、緑は安心。業種のイメージと合わせるときに、まず動かすのが色相です。

    明度(めいど):明るさ

    白に近いか、黒に近いかです。明度がいちばん強く効くのは読みやすさです。
    文字と背景の明度が近いと、色相をどう変えても読めません。薄いグレーの背景に白い文字、これが読めない典型です。
    迷ったら、作った画面を白黒表示にしてみてください。白黒で文字が読めなければ、色をつけても読めません。

    彩度(さいど):鮮やかさ

    色の濃さ、鮮やかさです。彩度が高いほど元気で目立ち、低いほど落ち着いて上品に見えます。
    初心者の作品が派手に見えるのは、ほぼここが原因です。
    たとえば無印良品の店内やサイトは、彩度の低い色だけでまとまっています。同じ茶色でも、彩度を上げるとチラシの色に近づきます。
    彩度を1段下げるだけで、急に大人っぽくなりますよ💡

    3つのうち、初心者がまず覚えるのは明度と彩度です。色相を変えると別のデザインになりますが、明度と彩度は同じ色相のまま印象だけを調整できます。色相で方向を決めて、明度と彩度で強さを決めると考えてください。

    色の三属性を3枚のカードで比べた図。色相は色みの種類、明度は明るさ、彩度は鮮やかさを表し、それぞれ帯で変化を示している

    トーン:明度と彩度をセットで扱う

    明度と彩度を別々に調整するのは大変です。そこで、この2つを組み合わせた「色の調子」をまとめてトーンと呼びます。
    ペールトーン、ビビッドトーン、ダークトーンといった言葉を見たことがあるかもしれません。あれは明度と彩度の組み合わせに名前をつけたものです。

    トーンの例明度と彩度伝わる印象
    ビビッド彩度が最も高い元気・目立つ・子ども向け
    ペール明度が高く彩度が低いやさしい・清潔・淡い
    ライトグレイッシュ明度が高めで彩度がかなり低い落ち着き・上品・ナチュラル
    ダーク明度が低い重厚・高級・大人

    トーンを覚える利点は、色相が違ってもトーンを揃えれば馴染むことです。
    ピンクと水色と黄色。バラバラの色相でも、全部をペールトーンで揃えると1つの作品としてまとまります。逆に、ビビッドな赤とくすんだ青を並べると、どちらが主役か分からなくなります。

    色選びで迷ったら「どの色にしよう」ではなく「どのトーンで揃えよう」と考えてください。決める対象が1つに減ります。

    チントとシェード

    トーンを自分で作るときに使う言葉が2つあります。

    濃淡を作る2つの言葉
    • チント:もとの色に白を混ぜた色。明度が上がり、彩度が下がります。やわらかく、軽くなります
    • シェード:もとの色に黒を混ぜた色。明度が下がります。重く、落ち着いた印象になります

    この2つを知っていると、色を増やさずにバリエーションを作れます。
    たとえばブランドカラーが1色しかない場合。そのチントを背景に、シェードを文字に使えば、全体が同じ色みでまとまったまま濃淡の差がつきます。色数を増やすより、まずチントとシェードで足りないか考えてみてください。

    ミニ確認(1分)
    お気に入りのブランドサイトを1つ開いて、使われている色を数えてみてください。ほとんどのサイトが3〜4色に収まっています。色数が少ないほど、覚えてもらいやすくなります。

    配分を決める:70対25対5

    どの色を使うかと同じくらい大事なのが、どれをどれだけ使うかです。同じ3色でも、面積の配分で仕上がりが変わります。

    3色の役割と面積
    1. ベースカラー(約70%):背景や余白の色。白やごく薄いグレーが安全です
    2. メインカラー(約25%):見出しや帯など、印象を決める色。ブランドカラー(そのお店やサービスを代表する色)をここに置きます
    3. アクセントカラー(約5%):ボタンや価格など、いちばん見せたい1か所だけに使う色
    配色の面積比70対25対5を示した図。バナーの例で背景がベース70%、見出し帯がメイン25%、ボタンがアクセント5%にあたることを帯の長さで比べている

    Amazonの商品ページを思い出してください。背景は白、文字は黒、そして「カートに入れる」のボタンだけが黄色です。
    色の数も面積も絞ったうえで、押してほしい1か所にだけ別の色を置く。これが70対25対5の形です。

    失敗の多くは、アクセントを使いすぎることで起きます。目立たせたい要素が5つあってアクセント色を5か所に置くと、どこも目立たなくなります。
    アクセントは1画面に1か所。この制限を守るだけで、目線が行ってほしい場所へ行きます。

    色数は3色までに絞ってください。足りないと感じたら、4色目を足す前にチントとシェードで濃淡を作ります。ほとんどの場合はそれで足ります◎

    ミニ実践:三属性を変えて印象を比べる

    三属性は、読むだけでは身につきません。同じデザインの色だけを変えて、自分の目で差を確かめます。所要時間は20分ほど、無料のCanvaで大丈夫です。

    1. 正方形のバナーを1枚作ります。要素は「見出し・短い説明文・ボタン」の3つだけ。文字の内容は何でも構いません
    2. ベース70%・メイン25%・アクセント5%の配分で色を置きます。まずは青系で作ってみてください
    3. できたら3枚コピーします。ここから1枚ずつ、変える属性を1つに限定します
    4. 1枚目は色相だけ変えます。青→オレンジへ。明るさと鮮やかさはそのままにします
    5. 2枚目は明度だけ下げます。同じ青のまま暗くします
    6. 3枚目は彩度だけ下げます。同じ青のままくすませます
    7. 4枚を並べて、それぞれの印象を一言で書きます。「元気」「高級そう」「地味」など、思ったままで構いません

    ポイントは、1枚につき動かす属性を1つだけにすることです。2つ同時に動かすと、どちらが効いたのか分からなくなります。
    やってみると、彩度を下げた1枚がいちばん「仕事っぽく」見えるはずです。この感覚が、次からの色選びの基準になります。

    仕上がりを次のチェックリストで確認してください。

    仕上がりチェック
    • 4枚とも、レイアウトと文字は完全に同じ
    • 1枚につき変えた属性は1つだけ
    • 4枚それぞれの印象を言葉にできた
    • アクセント色を使った場所が、どの枚数でも1か所に収まっている

    やってしまいがちな失敗

    色で情報を区別しようとする

    項目ごとに色を変えると、色数が増えて全部が主張します。
    直し方は、区別を位置と余白でやります。グループを離して置けば、色を変えなくても別のまとまりだと伝わります。

    ツールの初期パレットをそのまま使う

    初期の色は彩度が高めです。並べると全部がうるさく見えます。
    直し方は、選んだ色の彩度を1〜2段下げます。カラーピッカー(色を選ぶ四角い画面)で、点を左へ動かすと彩度が下がります。それだけで落ち着きます。

    明度差を確認しないまま文字を置く

    色相の違う2色は、目には違って見えても明度が近いことがあります。すると文字が背景に沈みます。
    直し方は、画面を白黒にして読めるか見ます。読めなければ、文字を白か濃い色に振り切ってください。

    トーンがそろっていない

    くすんだベージュの背景に、ビビッドな赤いボタン。ボタンだけ別の作品のように浮きます。
    直し方は、浮いている色のトーンを他に合わせます。アクセントとして意図的に浮かせる場合を除いて、トーンは揃えるほうが安全です。

    よくある質問

    配色は何色まで使っていいですか?

    3色までを基本にしてください。ベース・メイン・アクセントの3つです。
    白と黒(文字色)は色数に数えなくて大丈夫です。バリエーションがほしくなったら、4色目を足すのではなく、いま使っている色のチントとシェードで濃淡を作ります。色数が増えるほど、まとめるのが難しくなります。

    色相・明度・彩度のどれから直せばいいですか?

    「派手」「うるさい」と感じたら彩度、「読みにくい」と感じたら明度、「イメージが違う」と感じたら色相です。
    悩みの言葉と直す属性が対応しています。まず自分が何に困っているかを一言にすると、動かす場所が決まります。

    トーンを揃えると地味になりませんか?

    全体をトーンで揃えたうえで、アクセントの5%だけトーンを外します。ここに彩度の高い色を1か所だけ置くと、地味にならずにメリハリが出ます。
    やってはいけないのは、あちこちでトーンを外すことです。外す場所が2か所を超えると、揃えた意味がなくなります。

    好きな色と、そのデザインに合う色が違うときはどうしますか?

    合う色を優先します。色は自分の好みを表すためではなく、見る人に意味を伝えるために選ぶからです。
    ただ、好きな色を捨てる必要もありません。アクセントの5%として使えば、伝わり方を壊さずに自分の色を残せます。

    次に学ぶこと

    このレッスンの要点です。

    • 色は3つに分解できる。色相(色み)・明度(明るさ)・彩度(鮮やかさ)
    • 色相で方向を決めて、明度と彩度で強さを決める
    • 明度と彩度をまとめたものがトーン。トーンを揃えると色相が違っても馴染む
    • チントは白を混ぜた色、シェードは黒を混ぜた色。色数を増やさず濃淡を作れる
    • 配分は70対25対5。アクセントは1画面に1か所

    次は、色と色の組み合わせ方に進みます。補色と配色の型で、色相環のどこから選べば合うのかを型で覚えられます。
    作品全体の雰囲気を揃える話はトンマナで扱います。色をツール上で指定する方法はカラーコードの仕組みをどうぞ。

    ほかのレッスンはデザインの基本コース目次から選べます。

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