「デザインはできたのに、バナーに載せる言葉が決まらない…」で手が止まったこと、ありませんか?
バナーやLP(商品を1ページで紹介する縦長ページ)の仕事では、デザイナーが短いコピーまで考える場面がよくあります。そしてキャッチコピーは、センスではなく手順で作れます。
このレッスンでは、訴求軸の絞り方・ベネフィットへの変換・作り方の4手順までを扱います。読み終わったら、同じ商品で2本のコピーを書き比べる練習までやってみましょう。
キャッチコピーはデザインより先に決める
キャッチコピーは、見た人の目を最初に止めるための短い言葉です。バナーなら一番大きな文字、LPなら最初の1行がそれにあたります。
キャッチコピーの後ろに続く説明の文章はボディコピーと呼びます。役割分担ははっきりしていて、キャッチコピーが目を止めて続きを読ませる係、ボディコピーが理由や詳しい中身を伝えて納得してもらう係です。バナーはキャッチコピーだけで完結させ、LPでは両方を組み合わせます。このレッスンで扱うのはキャッチコピーのほうです。
制作の順番として、コピーはデザインより先です。文字数が決まらないと、文字の大きさも余白も決まらないからです。15字のコピーと40字のコピーでは、レイアウトが別物になります。
コピーライターが別にいる案件では、デザイナーは言葉を受け取る側です。それでも、小さな案件や自分の発信では自分で書きます。ここではコピーライターの専門論には入らず、デザイナーが実務で困らない範囲だけを扱いますね。
訴求軸を1つに絞る(誰に・何を・なぜ今)
訴求軸は、「何を一番の理由として行動してもらうか」の決めごとです。安さなのか、早さなのか、安心なのか。コピーを書く前に、この軸を1つだけ選びます。
軸を選ぶ材料は3つの問いで出せます。
- 誰に:どんな人に届けるか。ターゲットとペルソナで決めた相手です
- 何を:その人に効く強みはどれか。強みが3つあっても、載せるのは1つ
- なぜ今:今行動する理由があるか。期間限定・季節・先着など
「安くて早くて高品質」のように軸を全部載せると、1つも記憶に残りません。1枚のバナーで伝えられるのは1つだけ。残りの軸は、別のバナーやLPの本文に回します。
機能ではなくベネフィットで書く
訴求軸が決まったら、それをベネフィットの言葉にします。ベネフィットは、その商品で読んだ人に起きる良い変化のことです。
対になる言葉が機能。こちらは商品側の事実です。

「バッテリー容量5,000mAh」は機能です。これを「充電器なしで1泊2日いける」と書き直すと、ベネフィットになります。読んだ人が自分の生活を想像できる言葉に変わりましたよね💡
| 機能訴求 | ベネフィット訴求 | |
|---|---|---|
| 視点 | 商品側の事実 | 読んだ人に起きる変化 |
| 例 | 容量5,000mAh | 充電器なしで1泊2日 |
| 向く場面 | 比較検討中の人・数字で優位がある時 | まだ興味が薄い人・初めて見る人 |
機能訴求がダメなわけではありません。すでに比較検討している人には、数字の事実が一番効きます。
相手がどの段階にいるかで使い分けます。段階の考え方は購買行動モデルと訴求設計で扱ったとおりです。
キャッチコピーを作る4つの手順
ここまでの話を、実際に書く手順に落とします。順番はこの4つです。

- 届ける相手を1人決める。「30代・在宅勤務・肩こりに悩む」まで具体的に
- 強みを機能の言葉で全部書き出す。10個くらい、事実だけを並べます
- 1つずつ「だから何?」と聞いてベネフィットに変換する。「低反発素材→だから何?→長時間座っても腰が痛くならない」
- 相手に一番効く1本を選んで、削る。バナーに載せるなら15字前後が目安です
削るときは、なくても意味が通る言葉から消します。「とても」「様々な」「あなたの」あたりが最初の候補です。短くなるほど文字を大きくできるので、デザインにも効いてきます。
ミニ実践:同じ商品で2本書いて比べる
10分の課題です。道具は紙とペンだけで大丈夫◎
- 身の回りの商品を1つ選びます。いつも飲んでいるコーヒー、使っているイスなど何でも構いません
- その商品の機能訴求のコピーを1本書きます。事実と数字だけで
- 同じ強みに「だから何?」と聞いて、ベネフィット訴求のコピーを1本書きます
- 2本を並べて、「それぞれどんな人に効くか」を一言ずつメモします
2本を並べると、同じ商品でも言葉の向き先が変わるのが分かります。この感覚があると、バナーの依頼で「誰向けですか?」と聞けるようになります。この質問ができるデザイナーは信頼されますよ。
やってしまいがちな失敗
強みを全部盛りにする
「安い!早い!高品質!選べる3色!」は、書いた側の満足で終わります。読む人は1つも覚えません。
直し方は、訴求軸を1つに戻すこと。削った強みはLPの本文で拾えば無駄になりません。
うまい言い回しを最初に探す
語呂合わせや気の利いた表現から入ると、中身が置き去りになります。
先に決めるのは「誰に・何を」。言い回しの調整は、伝える中身が固まった後の仕上げです。
作り手の言葉で書いてしまう
「高解像度レンダリング対応」のような業界用語は、社内では通じても読者には届きません。
直し方は、届ける相手が友だちに話すときの言葉に置き換えること。迷ったら声に出して読んで、日常会話で使うかどうかで判断します。
よくある質問
次に学ぶこと
今回の要点です。
- コピーが先、デザインが後。文字数がレイアウトを決める
- 訴求軸は1つ。「誰に・何を・なぜ今」で選ぶ
- 機能を「だから何?」でベネフィットに変換する
- 量を出して、最後に1本選んで削る
次のレッスンは「LPの構成とファーストビュー」。今日作ったコピーを、LPのどこに置くと成果につながるかが分かります。
コース全体の流れはデザインの基本コース目次から確認してください。

