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フラットデザインの使い分け方|マテリアル・ミニマルとの違い

第6章 WebデザインとUI/UXの基礎 読了目安 8分

INDEX目次

    「フラットデザインで作ってください」と言われて、何をどう変えればいいのか分からなかった。デザインを始めた人からいちばん多く聞く戸惑いです。

    フラット・マテリアル・ミニマル。名前だけ見ると流行の話に聞こえますが、中身は「影と質感をどこまで使うか」というルールの違いです。ルールなので、覚えれば使い分けられます。
    この記事では実務でよく指定される5つの型を、判断の順番どおりに整理します。読み終えたら、参考サイトを見たときに「これはマテリアルだ」と言葉で分類できるようになりますよ◎

    もくじ

    デザインの型は5つ覚えれば足りる

    Webデザインの見た目には、業界で名前がついた型がいくつかあります。実務で指定されるのは、だいたい次の5つです。

    フラット・マテリアル・ミニマル・ダークモード・パララックスの5つのデザインの型を、見た目・配色・動きの3つの層に分けて特徴と向いている場面をまとめた一覧図解
    実務で指定される5つの型
    • フラットデザイン:影も立体感も使わない。色と形だけで作る
    • マテリアルデザイン:フラットに「紙の重なり」を足したもの。影を意味づけて使う
    • ミニマルデザイン:要素の数そのものを減らす。余白が主役
    • ダークモード:暗い背景で組む配色の型
    • パララックス:スクロールで奥行きを見せる動きの型

    最初の3つは見た目のルール、ダークモードは配色、パララックスは動きの話です。層が違うので、フラット+ダークモードのように組み合わせても矛盾しません。

    ここを分けずに「トレンド」とひとまとめにすると混乱します。まず3つの見た目のルールから見ていきましょう。

    フラットデザイン:影と質感をやめる

    フラットデザインは、立体的な装飾を全部やめて、平面のまま作るデザインです。影・グラデーション・光沢・テクスチャを使いません。残るのは色と形と文字だけになります。

    その前に主流だったのは、現実のものをまねた見た目でした。ボタンには押せそうな影がつき、メモアプリの背景は紙の質感、ゴミ箱アイコンは金属の光沢。こういう作りをスキューモーフィズム(現実の物の見た目をまねること)と呼びます。

    同じ申し込みボタンを、質感をまねたスキューモーフィズム・影を消したフラット・影で奥行きを示すマテリアルの3段階で並べ、影の扱いがどう変わったかを比較した図解

    フラットに変わった理由は3つあります。

    • 画面の数が増えた:スマホからPCまで幅が変わっても、平面なら崩れない
    • 表示が速い:影や質感の画像を読み込まないぶん軽い
    • 作る量が減った:色を変えるだけで済むので、更新が楽になる

    ただし弱点もあります。影がないと、どれがボタンで、どれがただの飾りか分かりにくくなるんです。押せると気づいてもらえないボタンは、存在しないのと同じですよね。

    フラットで作るときは、押せるものの見分けを色と形で作ってください。ボタンの色は1色に固定する、角丸の形はボタンだけに使う、文字色を本文と変える。この3つを守ると、影がなくても迷わせません💡

    マテリアルデザイン:影に意味を持たせる

    マテリアルデザインは、Googleが2014年に公開したデザインの指針です。フラットの弱点をつぶすために、影を「紙の重なり」として復活させました

    考え方はシンプルです。画面の上に薄い紙が何枚も重なっていると考えて、手前にある紙ほど濃い影を落とす。影の濃さがそのまま「奥行き」を表します。だからボタンやカードは浮いて見えて、押せると分かります。Googleマップやスマホの標準アプリを見ると、ボタンやカードが薄く浮いて見えますよね。あれがこの影です。

    フラットとの違いは、影を飾りに使うか、情報に使うかです。マテリアルの影は雰囲気づくりではありません。「これは手前にある=操作できる」を伝えるための記号です。

    フラットマテリアル
    使わない奥行きを示すために使う
    グラデーション使わない控えめに使う
    操作できる合図色と形で作る影の濃さで作る
    動き指定なし押した位置から広がるなど細かく決まっている
    向いている場面企業サイト・LPアプリ・管理画面

    操作が多いもの、たとえばアプリや会員ページはマテリアル寄りが安全です。見せるのが主役のLPや企業サイトはフラットで軽くまとめる。この分け方でだいたい合います。

    実例: 型のルールが読める公開ガイドライン
    • GoogleのMaterial Design:影の段階、色の作り方、押したときの反応まで決めてあります。マテリアルで作るなら本家を見るのが早いです
    • AppleのHuman Interface Guidelines:iPhoneやMacの画面を作るときの決めごと。押せる範囲の最小サイズも書いてあります
    • IBMのCarbon/MicrosoftのFluent:どちらもダークモードの配色が一式そろっています。暗い背景の色を自分で決めるのが不安なときに見ます

    3つとも無料で読めます。全部を覚える必要はありません。あなたの制作で迷った項目、たとえば影の濃さやボタンの高さだけを開いて、決まっている数字を借りてください。

    ミニマルデザイン:要素の数を減らす

    ミニマルデザインは、装飾ではなく要素そのものを減らす考え方です。フラットが「影をやめる」なら、ミニマルは「置くものを減らす」。減らした結果、余白が広く残ります。無印良品のサイトが分かりやすい例で、写真と短い言葉だけが置いてあって、飾りがほとんどありません。
    Googleの検索トップも同じ考え方です。ロゴと入力欄しかありません。置くものを減らしたぶん、何をする画面かが一瞬で伝わります。

    ミニマルは「白くて何もないデザイン」ではありません。残した少数の要素に、全部の役割を背負わせるデザインです。だから1文字ずつの言葉選びと写真の質が、そのまま完成度になります。

    初心者がミニマルでつまずくのは、減らすところを間違えたときです。飾りを消すのは正解ですが、説明の文章まで消すと「きれいだけど何のサイトか分からない」で終わります。
    減らす順番は、飾り → 色 → 写真 → 文字。文字はいちばん最後です。

    余白の取り方そのものは余白の使い方で数字まで決めています。ミニマルで作るなら先にそちらを読んでおくと早いですよ。

    ダークモードとパララックス

    残り2つは、見た目のルールとは層が違います。どの型と組み合わせても使えます。

    ダークモード:暗い背景で組む

    ダークモードは背景を暗くした配色です。暗い部屋でまぶしくない、有機ELの画面なら電池が長持ちする、といった利点があります。YouTubeにも切り替えがあるので、同じページで明るい配色と見比べられます。

    作るときの注意は2つです。
    1つ目は、背景を真っ黒(#000000)にしないこと。真っ黒と白文字は差が強すぎて、文字がにじんで見えます。#121212前後の濃いグレーにすると読みやすくなります。
    2つ目は、明るい配色をそのまま反転させないこと。暗い背景の上では彩度(色の鮮やかさ)の高い色が浮いて痛く見えます。色を少し淡くして、彩度を落としてください。

    パララックス:スクロールで奥行きを出す

    パララックスは、スクロールしたときに背景と手前の要素を違う速さで動かす表現です。奥のものがゆっくり動くと、人は奥行きを感じます。

    印象は強いのですが、代償も大きい表現です。読み込みが重くなり、スマホでは動きがカクつきます。動きに酔う人もいます。
    使うなら、ページの最初の1画面だけにとどめてください。全画面に入れると、読みたい人が読めないページになります。

    どの型を選ぶかの決め方

    型は好みで選びません。サイトの目的と、操作の多さで決まります。

    作るもの合う型理由
    アプリ・管理画面マテリアル操作できる場所がひと目で分かる
    企業サイト・サービス紹介フラット軽くて、更新しても崩れない
    ブランドサイト・作品集ミニマル写真と言葉を主役にできる
    開発者向けサービスダークモード併用長時間見る人が多い
    キャンペーンLPパララックスを一部だけ最初の1画面で引きつけたい

    迷ったらフラットで始めてください。いちばん失敗が少なく、あとからマテリアル寄りに影を足すこともできます。逆に、装飾を多く作ったあとで削るのは手戻りが大きいです。

    ミニ実践:サイトを3つ分類する

    型を覚える早道は、実物を分類することです。10分で終わります。用意するのはブラウザだけ。

    1. スマホかPCで、ふだん使っているサイトを3つ開く。ニュース・通販・アプリのように種類を散らすと差が見えます
    2. 1つ目のサイトでボタンを1つ選び、影がついているかを見る。影がなければフラット寄り、あればマテリアル寄りです
    3. 次に使われている色を数える。3色以内で余白が広ければミニマル寄りです
    4. スクロールして、背景と手前の動く速さが違うかを見る。違えばパララックスです
    5. 3つのサイトで同じ手順をくり返し、それぞれ「フラット/マテリアル/ミニマル」のどれに近いか名前をつける
    6. 最後に、なぜその型を選んだのか自分の言葉で1行書く。「操作が多いからマテリアル」のように理由まで書くのがポイントです

    判断に迷ったサイトがあれば、それは複数の型を混ぜています。混ぜること自体は問題ありません。どこで混ぜているかが見えれば、自分でも同じことができます。

    分類できたか、次のチェックリストで確認してみてくださいね。

    分類できたかの確認
    • 3つのサイトそれぞれに型の名前をつけられた
    • ボタンの影の有無を根拠に説明できた
    • 使っている色数を数えた
    • その型を選んだ理由を1行で書けた

    やってしまいがちな失敗

    フラットなのに押せる場所が分からない

    影を消したあと、ボタンとただの色つき四角が同じ見た目になっている状態です。
    直し方は、ボタンだけに使う色と形を1つ決めること。ページ内で同じ見た目が2つの意味を持たないようにします。

    影を雰囲気で足してしまう

    「なんとなく寂しいから」と影を全要素に足すと、どれが手前か分からなくなります。
    直し方は、影の段階を2つまでに絞ること。浮いているもの(ボタン・カード)と、平らなもの(背景・本文)の2階層で足ります。

    流行を理由に型を選ぶ

    「今はこれが流行だから」で決めると、提案の場で説明できません。
    直し方は、目的から選ぶこと。「操作が多いから影で示す」と言えれば、相手も納得します。

    よくある質問

    フラットデザインとは何ですか?

    影・グラデーション・光沢・質感といった立体的な装飾を使わず、色と形と文字だけで作るデザインです。画面の幅が変わっても崩れにくく、表示が軽くなります。その代わり、押せる場所を色と形で示す工夫が要ります。

    フラットデザインとマテリアルデザインの違いは何ですか?

    影の扱いが違います。フラットは影を使いません。マテリアルは影を使いますが、飾りではなく「手前にある=操作できる」を示す記号として使います。
    マテリアルには動きの決まりもあり、ボタンを押した位置から反応が広がるところまで指針が決まっています。

    フラットデザインのデメリットは?

    いちばん大きいのは、操作できる場所が伝わりにくいことです。影がないので、ボタンとただの色面が見分けにくくなります。
    もう1つは、装飾が使えないぶん色づかいと余白の差がそのまま出ることです。ごまかしがきかないので、配色と余白の基礎がそのまま完成度に出ます。

    フラットデザインは時代遅れですか?

    いいえ。今のWebサイトの多くは、フラットを土台にして必要なところだけ影を足す作り方です。純粋なフラット一辺倒は減りましたが、考え方そのものは標準になりました。
    「時代遅れ」と言われるのは、押せる場所まで分からなくした極端な作りのほうです。

    次に学ぶこと

    最後に整理します。

    • フラット:影と質感を使わない。押せる合図は色と形で作る
    • マテリアル:影を奥行きの記号として使う。操作の多い画面向き
    • ミニマル:要素の数を減らす。残したものの質がそのまま出る
    • ダークモード:真っ黒を避けて#121212前後、彩度は落とす
    • パララックス:最初の1画面だけにとどめる

    型を決めたら、次はそれをページ全体で崩さずに使い続ける仕組みが要ります。デザインシステムの基本で、色や部品のルールをまとめる方法を見ていきましょう。使いやすさの観点から型を選び直したいときはUIとUXの違いもあわせてどうぞ。

    ここまでの並びはデザイン基礎コースの目次から確認できます。

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