資料に数字を並べたのに、「で、結局どういうこと?」と聞き返された。そんな経験はありませんか?
数字は、文章のままだと大きさが伝わりません。読む人が頭の中で並べ直して、やっと差が分かります。
その手間をなくすのがインフォグラフィックです。特別な絵心は要りません。型を1つ選んで、数字を絞って、色を2色にする。この3つで、伝わる図になります。
このレッスンでは、インフォグラフィックの意味、よく使う5つの型、作る手順の順で見ていきます。最後に自分の1日を図にする練習もあるので、手を動かして覚えていきましょう。
インフォグラフィックは、読ませずに伝えるための図
インフォグラフィックは、情報を意味する「インフォメーション」と、図を意味する「グラフィック」を合わせた言葉です。日本語にすると「図解」がいちばん近い言い方になります。
複数形のインフォグラフィックスという表記も見かけますが、指しているものは同じです。どちらで書いても間違いではありません。

上の図を見てください。左は「スマホ68%、パソコン24%、タブレット8%」を文章で書いたもの。右は同じ内容を横棒にしたものです。
左は3つの数字を覚えて比べる作業が要ります。右は棒の長さの差が、そのまま割合の差です。読む前に大小が分かりますよね。
図解との違いはどこか
「図解とインフォグラフィックは何が違うの?」とよく聞かれます。厳密な線引きはありませんが、現場では次のように使い分けています。
| 呼び方 | 中身 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 図解 | 言葉や関係を図にしたもの全般。数字がなくてもよい | 手順の説明、仕組みの説明 |
| インフォグラフィック | データや数字が中心。グラフを含む1枚の作品にまとめる | 調査結果の発表、広報物、SNS投稿 |
ざっくり言えば、図解のうち数字を扱うものがインフォグラフィックです。呼び分けにこだわる必要はありません。作るときの手順は同じです。
身近なところにもたくさんある
特別なものではありません。毎日目にしているはずです。
- 駅の路線図。距離は正確ではなく、乗り換えの分かりやすさを優先している
- 天気予報の週間予報。晴れマークと気温の折れ線を重ねている
- 食品パッケージの栄養成分表示のグラフ
- 選挙速報の議席数の帯
- 非常口の案内図
どれも「文章で書くと長い情報」を、見た瞬間に分かる形にしています。路線図が分かりやすいのは、実際の距離を捨てて、乗り換えの順番だけを残しているからです。捨てる情報を決めるのが、作る側の仕事ですね。
よく使う5つの型
ゼロから考えなくて大丈夫です。使う型はだいたい5つに決まっています。手元のデータがどれに当てはまるかで選びます。

| 型 | 向いているデータ | よく使う形 |
|---|---|---|
| 比較 | 項目ごとの大小を見せたい | 棒グラフ |
| 推移 | 時間による変化を見せたい | 折れ線グラフ |
| 割合 | 全体に対する内訳を見せたい | 円グラフ、帯グラフ |
| 手順 | 順番と分かれ道を示したい | フローチャート |
| 分布 | 場所や量のかたよりを示したい | 地図、点の図 |
型を見分ける練習も、手元のもので足ります。天気予報の週間気温は推移(折れ線)、選挙速報の議席数は比較(棒)、スマホの設定にあるバッテリーの使用状況は割合(帯グラフ)です。帯グラフは、横1本の帯を割合で区切った図のことですね。
4番目のフローチャートだけ少し補足します。これは作業の順番を四角で並べ、判断が必要なところを分岐として書く図です。「申し込む → 審査 → 通ったら発送、通らなければ連絡」のように、進み方が枝分かれする説明に使います。
手順が一本道なら、番号つきの箇条書きで足ります。分岐があるときだけフローチャートにしてください。
作る手順は4つ
いきなりツールを開かないでください。順番を守ると、途中で作り直さずに済みます。

- 伝えたい1文を先に決める。「スマホから見る人が7割」のように、図を見た人に持ち帰ってほしい言葉を書き出します。ここが決まらないうちにグラフを作ると、何を強調すればいいか決められません
- 数字を3〜5個に絞る。手元の数字を全部載せると、主役が消えます。載せない数字を決めるほうが大事です
- 型を1つ選ぶ。さっきの5つから、1文に合うものを選びます
- 色を2色にする。主役だけ濃い色、残りは同じ薄い色にします
4のところでつまずく人が多いので、もう少し書きますね。項目ごとに違う色を塗ると、全部が同じ強さで主張して、結局どれも目立ちません。色は区別のためではなく、強調のために使うと決めてしまうと迷わなくなります◎
ツールは何でも構いません。CanvaでもGoogleスライドでもExcelでも作れます。大事なのは1〜3の順番のほうです。
伝わらない図になる3つの原因
作ったのに伝わらないとき、たいてい原因はこの3つのどれかです。
立体にして見た目を盛る
円グラフを立体にすると、手前の項目が実際より大きく見えます。棒グラフに影をつけると、棒の長さの端がぼやけます。
直し方は簡単で、立体と影をやめて平らに戻すだけ。地味に見えても、こちらのほうが正確に伝わります。
目盛りの始まりをゼロにしていない
棒グラフの目盛りを50から始めると、52と58の差が実際の何倍にも見えます。読む人は棒の長さの比で受け取るので、これは事実と違う印象を与えます。
棒グラフの目盛りはゼロから。差が小さくて見えないときは、棒をやめて数字を大きく書くほうが誠実です。
単位と出典が抜けている
「68」とだけ書いてあると、%なのか人数なのか分かりません。調査の出典がないと、その数字を信じてよいかも判断できません。
図の下に小さく単位・調査時期・出典を入れてください。文字は小さくて構いません。あるかないかが問題です。
できあがったら、この4つを確認してみてください。
- 3秒見ただけで、伝えたい1文が読み取れる
- 使っている色が2色(+文字の色)に収まっている
- グラフが平らで、目盛りがゼロから始まっている
- 単位・時期・出典が入っている
ミニ実践:自分の1日を図にする
10分の練習です。題材は自分の1日。データを探さなくていいので、すぐ始められます。
- 昨日1日の時間の使い方を、紙に書き出します。睡眠・仕事・食事・移動・スマホ・その他の6項目くらいで十分です
- 合計が24時間になるように、それぞれの時間を書きます。感覚で構いません
- 伝えたい1文を決めます。「移動とスマホで4時間使っていた」のように、自分が驚いたことを1文にします
- 型を選びます。1日の内訳なので割合の型(帯グラフ)が合います。24時間を横1本の帯にして、6項目を左から順に並べます
- 1文で選んだ項目だけ濃い色にして、残りは同じ薄い色にします
- 帯の下に「昨日の記録・自己申告」と書きます。これが出典です
紙とペンで大丈夫です。定規で線を引いて、24時間を24マスに区切るとそのまま帯グラフになります💡
できたら、家族や同僚に見せて「何が言いたい図に見える?」と聞いてみてください。決めた1文と違う答えが返ってきたら、強調する場所がずれています。
この練習のいいところは、データを疑う目が育つところです。自分で作ってみると、世の中のグラフの目盛りや色の使い方が気になり始めますよ。
よくある質問
次に学ぶこと
このレッスンの要点をまとめます。
- インフォグラフィックは、読む人が考える手間を減らすための図
- 型は5つ(比較・推移・割合・手順・分布)。1枚に1つだけ
- 手順は、伝えたい1文 → 数字を絞る → 型を選ぶ → 色を2色にする
- 立体・ゼロ始まりでない目盛り・出典なしは避ける
図の中で使う小さな絵は、アイコンとピクトグラムのレッスンで扱います。項目の横に何を置くか迷ったら読んでみてください。
ここまでで装飾とビジュアルの章は終わりです。次の章はWebページの構成から始まります。作ったものを実際のページのどこに置くかの話に進みます。
ほかのレッスンはデザインの基本コース目次から選べます。順番に進めても、気になるところだけ読んでも大丈夫です。
