同じ内容なのに、高級ブランドの広告は落ち着いて見えて、スーパーのチラシはにぎやかに見える。この差を作っているものの1つがジャンプ率です。
前のレッスンで学んだ4原則の対比を、数字で扱えるようにする回です。「差をはっきりつける」と言われても迷いますが、倍率で考えると決められます。
ジャンプ率とは
ジャンプ率は、いちばん大きい要素と、いちばん小さい要素の比率です。文字なら「見出しの文字サイズ ÷ 本文の文字サイズ」で出します。
本文16px・見出し32pxなら、ジャンプ率は2.0倍。
本文16px・見出し20pxなら、1.25倍です。

高いとどう見えるか、低いとどう見えるか
どちらが良いという話ではありません。伝えたい印象で選びます。
| ジャンプ率 | 印象 | よく使う場面 |
|---|---|---|
| 低い(1.0〜1.5倍) | 落ち着き・上品・信頼 | 高級ブランド、士業、医療、コーポレートサイト |
| 標準(1.5〜2.5倍) | 読みやすい・素直 | ブログ記事、サービスサイト、資料 |
| 高い(3.0倍以上) | にぎやか・勢い・お得感 | セールのバナー、チラシ、キャンペーンLP |
高級ブランドのサイトを見ると、文字が小さくて驚くことがあります。あれは意図的です。差をつけないことで、静かで上品に見せています。
逆にスーパーのチラシは、価格だけが極端に大きい。1秒で「安い」と伝えることが目的だからです。
身近な例で比べてみてください。ユニクロのセール告知は価格だけが飛び抜けて大きく、無印良品のサイトは見出しと本文の差がほとんどありません。同じ文字を置く作業でも、倍率で伝わる印象が変わります。
文字のジャンプ率の目安
ちょうどいい倍率は、作るもので変わります。迷ったときの出発点として使ってください。
- 記事・読み物:1.5〜1.8倍。読み続けてもらうのが目的なので、差は控えめにします
- サービスサイトの見出し:2.0〜2.5倍。スクロールしながら構造が分かる強さです
- バナー:3.0〜5.0倍。一瞬で主役が伝わる必要があります
- プレゼン資料:2.5〜3.0倍。離れた席から見えることが条件です

文字以外のジャンプ率
画像のジャンプ率
並べた写真の大小の比率です。全部同じ大きさだと一覧性は上がりますが、平坦になります。
1枚だけ2〜3倍にすると、そこが主役になります。ギャラリーやブログの記事一覧で効きます。
余白のジャンプ率
これは前のレッスンでやった「グループ間はグループ内の2倍以上」と同じ考え方です。余白にも差をつけると、まとまりがはっきりします。
文字・画像・余白の3つでジャンプ率を揃えると、デザイン全体の調子が合います。文字だけ元気で余白が詰まっている状態は、ちぐはぐに見えます。
ジャンプ率の決め方
順番はこうです。
- 本文のサイズを先に決める。読める大きさが基準です。Webなら16px前後、バナーなら短辺の4%前後
- 伝えたい印象から倍率を選ぶ。落ち着かせたいなら1.5倍、目立たせたいなら3倍
- 掛け算で見出しを出す。16px × 2.0 = 32px
- 中間サイズは等比で刻む。16 → 20 → 25 → 32 のように、同じ比率で増やすと揃います
本文16pxを出発点にするのは、パソコンでもスマホでも、ブラウザの初期設定が16pxだからです。まずここに合わせておくと、読めない文字になりません。
やってしまいがちな失敗
全部を大きくしてしまう
目立たせたい要素が3つあると、3つとも大きくしてしまいます。結果、どれも目立ちません。
直し方は、主役を1つに決めて、他を小さくする。大きくするのではなく、小さくするほうが早いです。
媒体に合っていない
コーポレートサイトにチラシのジャンプ率を持ち込むと、安っぽく見えます。逆にセールのバナーを1.2倍で作ると、何も伝わりません。
直し方は、作る前に「落ち着き」か「勢い」かを決める。決めてから倍率を選びます。
サイズの種類が多すぎる
14・15・16・18・19・22・24…と増えると、ジャンプ率が測れなくなります。
直し方は、3〜4種類に統合する。近い値は同じにまとめてしまって構いません。
太さで代用しようとする
サイズを変えずに太字だけで差をつけようとすると、弱い差にしかなりません。
直し方は、まずサイズで差をつけて、太さは補助に使う。太字だらけの画面は、結局どこも目立ちません。
練習:同じ文面で2案を作る
手を動かすと一気に分かります。文面・色・レイアウトは変えず、ジャンプ率だけを変えた2案を作ってください。
題材はこれを使ってみましょう。
- キャッチ:はじめての方へ
- サブ:カウンセリング無料
- 補足:オンライン対応・全国どこからでも
- A案(低い・1.3倍):本文16px、キャッチ21px
- B案(高い・4.0倍):本文16px、キャッチ64px
作り終えたら、2案を並べて言葉にしてみてください。「Aは落ち着いて見える」「Bは急いでいる感じがする」。この言語化が大事です。次に作るとき、印象から倍率を逆算できるようになります。
- 2案で変えたのはジャンプ率だけになっている
- それぞれの印象を、自分の言葉で説明できる
- どちらを「どんな案件で使うか」を言える
よくある質問
次に学ぶこと
このレッスンのまとめです。
- ジャンプ率 = 大きい要素 ÷ 小さい要素
- 低い(1.0〜1.5倍)は落ち着き、高い(3.0倍以上)は勢い
- 下限は1.5倍。それ以下は差として伝わらない
- 本文サイズを先に決めて、倍率を掛けて見出しを出す
- 使う文字サイズは3〜4種類まで
ここまでで、4原則・余白・ジャンプ率と、1つの面をどう整えるかを学びました。次は面全体の組み立て方です。次のレッスンは「レイアウトの基本」。要素をどこに置くか、視線がどう動くかを扱います。
バナーで手を動かしたい方はバナーデザインお題20選をどうぞ。同じお題をジャンプ率違いで2案作ると、練習になります。
